図書館(2), 図書館の本, 「恐るべき旅路〜火星探査機「のぞみ」のたどった12年〜」
図書館(2)
前回の貸出日から昨日でちょうど2週間、再び図書館に行ってきました。
どうでもいいけど、ここ2週間で僕の図書館利用パターンが見えてきたような気がするぞ。八王子市図書館は Web からも蔵書検索や予約が可能で、予約すると2週間は取り置きしてくれるのです。この機能を最大限活用して、
- 本を借りる。
- 借りた本を読んでいる間、または読み終わったら、Web から次に読みたい本を検索&予約。
- 本を返すタイミングで次の本を借りる。以下ループ。
というパターンがとても便利な感じ。僕はいわゆる「本屋、図書館で書棚を眺めていると便意を催す」タイプなので、図書館内で本を眺めるよりも Web 検索する方が性に合っています。最近の図書館は便利なのですね。
図書館の本
ところで最近図書館で本を借りて読み出してみて改めて思うのは、本を大事にしない人が多いのだなぁ、ということ。図書館で本を借りて読む人ですら、ですよ。
前回借りた「ワンダフル・ライフ」も今回借りた本もとても汚れてました。実に全ページ数の 1/2 近くにわたるほどじっくり染みこんだ醤油 or コーヒーと思わしきシミや、指紋がくっきり見える汚れた手でページをめくったと思われる (これも醤油?) シミ、ページの間から髪の毛はたくさん出てくるし、あまつさえ鉛筆で傍線まで引かれています1。もうびっくりですよ。
こういうのが気になってしまう人は図書館で借りた本を読むのは難しいのかもしれないなぁ、と思いました。僕も気にはなるけど、中身が読めなくなってしまうほどではないので今のところ大丈夫。
「恐るべき旅路〜火星探査機「のぞみ」のたどった12年〜」
ロケット関連の著作で有名なノンフィクションライター、松浦晋也さんの本。SAK に借りて読みました。余談ですが SAK のこの本はなんとサイン本で、汚しやしないかとひやひやでした。
日本初の惑星探査機で、紆余曲折の果てに結果的には「失敗」したことになった火星探査機「のぞみ」をめぐるあれこれを、そのプロジェクト発足の最初からまとめたドキュメンタリーです。プロジェクト失敗の直接的な原因はありがちなパーツ故障だったのですが、この本の著者松浦さんは「すべての失敗の遠因は他国の探査機と比較しても極端に厳しい重量制限、予算制限にあった」としています。確かに初めてづくしの探査機にもかかわらず、ほとんど冗長系も用意できず、とってもぎりぎりな設計であったらしいところなんかは「おいおい」という感じ。不可避な状況的な問題もあったし、いろいろと不運な点もあったのですね。
この本の前半は打ち上げまでの紆余曲折、後半は打ち上げてからの紆余曲折が書かれています。「のぞみ」は打ち上げ前に、「あなたの名前を火星に届けよう」というキャンペーンが行われたらしく、総計27万人分もの名前を刻んだアルミプレートを積んでいました。本書のちょうど真ん中に、そのキャンペーンに寄せられた人々の夢、想いの言葉が intermission のように挿入されていて、これがまた泣ける。同じノンフィクションでも例えば、とてもクールなサイモン・シンと比べると、松浦さんはロケットにも探査機にも人にも感情移入しまくりでとってもウェット。ばりばり浪花節です。そういうところが彼の魅力なんだろうな、きっと。
ところで「のぞみ」は一般には失敗ということになってますけど、あれだけ苦労してとりあえず火星まで届けた経験は十分大きな財産ですよ。そりゃもちろん火星に届いて観測データ得られればすごいことだけど、最初のチャレンジから完璧な結果を求めるのは欲張りってものです。