bird追記, 「指輪物語」

追記

「退避勧告を無視して入国した」という点についての批判については、池澤さんのご意見、

 郡山さんと高遠さん、それに今井さんは会社や官庁の命令ではなく、自発的にイラクに行きました。
 危険なのに行った。警告はしてあった、と外務省などは言っています。
 たしかに彼らは危険を承知で行った。
 イラクの現状を見て報道し、子供たちに手を貸し、平和の実現を早めるために行った。
 残念ながらこの目的は彼らを守ることになりませんでした。平和のための活動家であることより、イラクに軍を送り込んだ日本という国の国民であることの方を相手は重視した。
 彼らは行くべきでなかった、と言う資格はぼくにはありません。行くか行かないか、アンマンでそれを判断できたのは彼らだけです。危険は大きい。しかし自分たちが行ってしなければならないことの意義も大きい。
 ぼくは彼らの判断に敬意を表し、無事を祈ります。

と同じように感じています。

ここでも、日本政府の対応には何か硬直したものを感じます。「勧告」は「勧告」であって、法的な強制力を持ちません1。日本政府は、本当に自分たちが行っているのが「勧告」だ、ということを理解していたのでしょうか?「勧告」であるということはつまり、政府お薦めの方法を取らない国民も許容する必要がある、ということです。それだけの懐の深さを求められる、ということです。どうも「建前と本音」的な意識の乖離があるような気がしてなりません。

自民党の額賀さんが、「強制的渡航禁止の法整備検討を」と発言されていますが、こういった国民の自由を制限する法律に関しては、ぜひ慎重に議論を重ねていただきたいと思います。昨今の、数にモノを言わせた強行採決ばかりの国会を見ていると、少し悲観的にもなってしまいますが…。

「指輪物語」

指輪物語 前回読んだのはいつだったかなぁ。中学生か高校生の時だったと思うのですが、ほとんど完全に忘れていたため、どちらかというと映画の印象を反芻しつつ読みました。どうも僕は文章で書かれた風景描写をアタマの中に再現するのが苦手なのですが、映画のイメージがあったことで今回はその点とても楽に読み進めることができました。

「映画が先がいいか、本が先がいいか」と言われれば、僕は映画が先の方がいいんじゃないかなぁ、と思います。映画の方が、やはり短い尺に話を収めるためにいろいろと工夫されている分、どうしても人物描写などがおおざっぱになっています2。映画を見たあと本を読めば、より深い記述に総じて満足出来ると思います。逆だと、「ファラミアはそんな人じゃない」とかいろいろ欲求不満がたまりそう。

そういえば、「この物語は暗に当時の現実世界 (第二次大戦) を暗示している」という話を以前よく聞きましたが、トールキン自身が新版の序文で「そういう意図はなかった」と否定しているのですね。トールキンはいわゆる「寓話」と言うものが嫌いなんだそうで、「寓意性を持つ物語」より、「適応性のある物語」を書きたかったのだ、と書いています。なるほどなぁと思いました。

コメント

SAK (Wed, 14 Apr 2004 20:15:01)
政府は「勧告を無視して行った事を非難してない」「ちゃんとアンマンに対策本部を設置してる」「日本にも徹夜で情報収集に当たってる人がいる」ということで、十分に懐が深いと思うのだが。
逆に「なぜ無理にでも止めなかったのだ? 止めなかったのだから、政府の責任だっ!」とか言い出すヤツがいるからこそ「強制的渡航禁止」なんて法律が俎上に上がるんだと思われ。
Digitune (Wed, 14 Apr 2004 22:29:52)
「対策本部の設置」や「徹夜で情報収集」は対策の前段階の話なので置いておくとして、「勧告を無視したことを非難」はしてもいいと思う。もちろん、法的には何の問題もないわけだからそういう非難は出来ないけど、せっかくのお勧めを無視されたんだから、遺憾、と感じることは心情的に理解出来るし、それをある程度表現することも僕は問題ないと思う (あんまり感情的な政府というのもいただけないけどね)。

僕が「許容する必要がある」と書いたことの意味は、そういう人達が現実にいて、かつ政府の活動に大きな影響を与えているということを、政府の人達は自らの方針の結果として真っ正面から捉える必要がある、ということです。

今回の事件は、イラクの人達からの一つのシグナルだと思います。僕は、政府から最初に「自衛隊は人道支援に行っているのだから、撤退すべき理由が分からない」と言ったことに、深く失望しました。この言明に、「イラクの人達がどう考えているのかなんて関係ない」という意識を感じたからです。それとも逆に、政府はそこまでイラクの人達に理解されているという自信、根拠があったのでしょうか。いろいろな報道を見る限りにおいて、日本政府にそこまでの自信を持てるほどの根拠があったとはとても思えません。
(人質の家族が犯人に訴える映像をアル・ジャジーラが放送したことでイラクの人の意識が変化してきている、という報道もありました。本来なら日本政府が行うべき役割を、人質の家族、というある意味一番苦しんでいる人達が担っているわけで、なんとも皮肉な話だと思います。)

イラク特措法では戦闘行為が行われている地域に自衛隊は派遣できないことになっていますが、SAK が普段から言っているように、戦争というのは交通事故と同じで、自分がいくら気をつけていてもダメなことがあるわけです。現在の、武装したイラクの人達の集団に人質の命が脅かされている、という状況は戦闘行為すれすれだと僕は思いますが (イラク特措法参照。http://www.kantei.go.jp/jp/houan/2003/iraq/030613iraq.html)、となると、政府はなんとかして本当の戦闘行為に発展する前に、彼らに銃を降ろさせる必要が法的にはあるわけです。しかし、そういう意味で見た時、本当に「懐の深い対応」を行えているかというと、「なぜ撤退しなければならないのか分からない」なんて言っている段階で、「ダメだこりゃ」と僕なんかは思ってしまいます。

アメリカと交渉して取り付けた「最大限の協力」という約束にしても、人質はファルージャ近郊に拘束されている可能性が高いと言われる中、アメリカがファルージャへの攻撃を再開、というニュースを聞くにつけ、一体あの約束はなんだったんだろう、と思わずにいられません。

コメント欄が小さくて書きにくいね…。
Digitune (Wed, 14 Apr 2004 22:41:02)
> となると、政府はなんとかして本当の戦闘行為に発展する前に、彼らに銃を降ろさせる必要が法的にはあるわけです。しかし、そういう意味で見た時、本当に「懐の深い対応」を行えているかというと、「なぜ撤退しなければならないのか分からない」なんて言っている段階で、「ダメだこりゃ」と僕なんかは思ってしまいます。

逆に、積極的に相手に銃を降ろさせる努力をしていない、ということは、自衛隊を撤退させるつもりなのかしら…とも思ったり。まぁその可能性は限りなく低いと思うけどね (単なる一部の武装勢力の行動で、「国際的な武力紛争の一環として行われる」戦闘行為ではない、というあたりが想定されるイイワケか)。

> 逆に「なぜ無理にでも止めなかったのだ? 止めなかったのだから、政府の責任だっ!」とか言い出すヤツがいるからこそ「強制的渡航禁止」なんて法律が俎上に上がるんだと思われ。

上の額賀氏みたいな発言が与党内から出て来ちゃうあたりが、懐の浅さを如実に物語っているようにも思うんだけどね。ちょっと考えれば、額賀氏の発言は (政府の公的な見解と) 矛盾しまくっていることが分かるだろうに (あっちゃこっちゃの blog で既に突っ込まれてるよね)。

コメント欄、大きくしてみました ;-)。
まいき〜 (Thu, 15 Apr 2004 01:42:20)
おお、熱い議論が…。Digitune氏の意見にはおおかた同意。けど、自衛隊撤退させないのは、「短・中期的な」判断からすれば当然の対応だと思う。この判断には、イラクの問題だけでなく、北朝鮮問題や、今後「(かつての)西側」で発言力を維持する(もしくは強くする)という意図が見えるわけで、今後日本はこういう態度を取るんだよという、いい(?)アピールになってると思う。
人質、というカテゴリからすれば、北朝鮮も同じ事をしてるので、暗に北朝鮮に対する圧力になってるはず。ここで引いてしまったら、北朝鮮が増長する可能性も否定できないし、うちもやるときゃやるよ、ってところを見せておこうってのはあると思う。派遣されてる以上、自衛隊の行為がイラクの人たちに有益であれば良いのですが…。親切の押し売りにならないで欲しいなあ。
強制渡航禁止措置は、問題に対して後手後手を踏んでる感じ。いかにも日本のお役所的対応。でもまあ、国民の生命を保護する義務があるなら、措置やむなし、かなあ。選挙もあるしねえ…
Digitune (Thu, 15 Apr 2004 08:36:28)
> 今後「(かつての)西側」で発言力を維持する(もしくは強くする)という意図が見えるわけで、今後日本はこういう態度を取るんだよという、いい(?)アピールになってると思う。

いや、それが建前通りの「今後は積極的に人も出しますよ!」ならば良いのですが (でもそれだと北朝鮮への牽制にはなりそうもない)、「今後は積極的に軍事行動にも参加しますよ!」ではそもそも現行法上ダメだし、国内世論的にもまだまだ反対は強いわけです (そもそも憲法違反だし)。「北への圧力」とか言い始めると、今の自衛隊の行動を軍事行動だと言っているようなものです。それは認めてはダメだと思うんだけど…。

> 親切の押し売りにならないで欲しいなあ。

まったくです。上にも書いたけど、今の政府の対応にはまいきーの書いてくれたような意図は鮮明に感じるものの、肝心の「イラクの人の役に立ちたい」という面ではほんとにちゃんと考えてるの?って感じに思えるんですよね。イラクの人が「米軍を助けるために軍隊を送ってきた」と悲しんでいるのなら、その誤解 (誤解だよね?・笑) を解くために何か分かりやすい手を打つべきだと思うんですよね (メディアを使ってイラクの人に何らかの約束をするとか…それも出来る限り分かりやすいものを)。
うさ (Thu, 15 Apr 2004 12:02:19)
あのね、捕まった人たちは「本当に自分たちの命が危険にさらされる」ことを
覚悟してたのかな?
どこかで「俺らは人道支援だから、まさか、ねえ」がなかったろうか?
と思うのだけれど。
Digitune (Thu, 15 Apr 2004 12:22:13)
そればかりは本人に聞いてみないとなんとも言えないと思うなぁ>うさどん。

本人たちの思惑はどうあれ、事実は池澤さんの書かれているように、「残念ながらこの目的は彼らを守ることになりませんでした。平和のための活動家であることより、イラクに軍を送り込んだ日本という国の国民であることの方を相手は重視した。」ということだった、ってことだね。
まいき〜 (Thu, 15 Apr 2004 23:50:19)
3人、解放されたみたいだね。とりあえず良かった。でも別の2人が拉致された、という情報もあるので、結局一進一退かあ…。
で、おいらが言いたかったのは、直接的な軍事行動で圧力かける、ってことでなくって、揺さぶりをかけられて、すぐ方針を転換すると、揺さぶりに弱いという認識をされてしまい、対外交渉の場で不利になる可能性を排除したかったのではないか、ってことです。
まあ、そんなことよりも、早く戦いが終わらないかなあ。戦争は架空の世界だけで結構。
ねおん (Fri, 16 Apr 2004 00:13:17)
最初にこの話題が書かれてから、なんか書こうかと思って、やめ、だったのだけど、ともかく一部解放されたので…
なんていうか、どういう形でもいいと思うんだけど、こういうことを気に、ぜひイスラムへの理解とか知りたいというマインドが、みんなの間で進むといいんだけどね。
「知る」というのは知識でなくて、感覚的というか、そういうことでね。ほんとは行って会ってみるのが一番いいとは思うけど、まあそういう情勢でもないし。
いっそのこと100万人ぐらい行ってみたら、まあ誘拐できないだろうし、いいかも知れない!
…ああ、今ニュースで横山光輝さんの死去が…悲しい…
ねおん (Fri, 16 Apr 2004 00:26:42)
ところでぜ〜んぜん関係ないのだが
http://www.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0404/15/news090.html
は、ひさびさにヒットな記事であった。
いや、あのCDのプラスチックというのは、ほんと大変なゴミになっているのですだよ。早いとこ実用化してほしいものだあ。
Digitune (Fri, 16 Apr 2004 08:23:16)
まったくそう思います>ねおんさん。
残りの二人に関しては今回尽力してくれた宗教者委員会側でも接点がないようですし、心配です。反米運動がビジネスになっている、なんて報道もあって、妙なトレンドに巻き込まれないと良いのですが…。
Digitune (Fri, 16 Apr 2004 08:49:36)
なるほど>まいきー(前後が逆になっちゃってごめん)。
確かに、外圧によってコロコロと方針を変えてしまう、という印象を植えつけては外交上不利、というのはわかります (人間同士でもそうだよね)。でも、日本政府の方針であるところの「イラクの復興支援」と、「自衛隊の派遣」は必ずしもイコールではないでしょう?前者が目的であるなら、後者は手段です。目的 (意図、方針) を外圧によってころころ変える人は信用されませんが、手段に関しては、状況にあわせて臨機応変に選択していくのが賢い方法と一般にはみなされているのではないでしょうか。
「自衛隊の派遣」という手段に対して効率的でない、デメリットが大きいと判断すればさっさと引っ込めて、もっと効果的に復興支援を行える方法を模索すれば良いと思うのです。
なんというか、「テロに屈するな」→「自衛隊を撤退すべきでない」という単純すぎる論理は、「手段の目的化」というか、「建前と本音」みたいなモノが見えるようで僕は少し気持ち悪いです。
うさ (Fri, 16 Apr 2004 11:37:14)
解放されたそばからまだ「イラクに残りたい」とかぬかしてるやつがいるみたいだけれど・・・誰か今回の救出にかかったコストを請求書にしてつきつけてやれっつの。
・・・言っていい? アホって。
Digitune (Fri, 16 Apr 2004 12:04:07)
僕はおかしいとは思わないけどな。彼らは、「イラクの現状を伝える」「イラクの人たちを助ける」という信念を持って現地に赴いたわけです。それを、ちょっと恐い目にあったからといって軽々しく翻してしまう方が (まいきーじゃないけど) 人としてどうなのよ、と僕なんかは思う。

ただもちろん、彼らだって今回の件で多くの人に迷惑をかけたことは認識しているだろうし、これまで以上に慎重に行動するようになるだろうと思うよ。彼らを「アホ」と思うのは、今後の彼らの行動を見てからでも遅くはないと思うけど。
Digitune (Fri, 16 Apr 2004 12:26:15)
追記。

> 彼らだって今回の件で多くの人に迷惑をかけたことは認識しているだろうし、

もしくはこれから認識していくのだろうし。

この点に関しては彼ら本人達よりも日本の家族たちが身にしみていることだろう。僕はしっかりと本人たちにも伝わるのではないかと思うよ。
うさ (Fri, 16 Apr 2004 12:58:40)
違うんだぴょんさ。
今回もそうだったけど、人一人生きる死ぬって問題じゃなくなっちゃうわけよ。国全体としての進退を問われる状態になっちゃうわけで。「迷惑をかけたことを認識して、慎重に行動するようになる」ことがかの国でどれほど役に立つのか? 鉄砲で脅されたらそんなもんへのつっぱりにもならんよ。
イラクの現状を伝えるだのなんだの、実際どれほどの人間に伝えることができたわけ? 周囲の人間? 住んでる町の人? 県の人? 日本中? 民間人一人ができることがそんなにでかいわけないっしょ。その割にこういう事件に巻き込まれたときに引き起こされる衝撃がでかすぎる。
もはや単純に本人の意思だけで行っていい・悪いってレベルじゃないでしょ。ぶっちゃけ。
そこで「まだ行きたい」ってのは駄々と同じ。理性的に判断して「諦めます」が大人の判断ちゃうか? というわけで、アホに一票。
うさ (Fri, 16 Apr 2004 13:01:32)
それともあれかね、好き勝手に行かせて、向こうで射殺されたりすんのは放置でOK?
まあ別にそれならそれでかまわんけれど。
これ以上国の進退にかかわるような状況になるのはやめろと。行くんなら遺書でもなんでも書いていけってとこで。
Digitune (Fri, 16 Apr 2004 14:07:49)
> 実際どれほどの人間に伝えることができたわけ?

それは僕には判断できないけど、

> 民間人一人ができることがそんなにでかいわけないっしょ。

と、他人の仕事を不当に貶める態度はどうかと思うぞ。ピューリッツア賞を取ったカメラマンだって、ガンジーだって、元は一人の民間人でしょう。誰が何を成すか、は誰にも分からないんだから、「でかいわけない」と十把一絡げに過小評価するのには僕は反対だ。

> 理性的に判断して「諦めます」が大人の判断ちゃうか?

その「判断」は日本にいる我々の判断であって、彼の立場に立ったものではない。発言をした時点の彼の元には今回の件でどれだけの人がどれだけの苦労をしたのか、十分な情報があったと思う?僕はほとんど何も知らなかったんじゃないかと思う。

前後するけど、

> 鉄砲で脅されたらそんなもんへのつっぱりにもならんよ。

「行くか行かないか」という判断も含めて「慎重に行動」のつもり。ともかく一回連れて帰って政府の家族の苦労話を小一時間聞かせるのも効果大だと思うぞ(笑。
Digitune (Fri, 16 Apr 2004 14:12:36)
訂正。

> 政府の家族の苦労話

これはもちろん、「政府や家族の苦労話」の間違い。失礼しました。
Digitune (Fri, 16 Apr 2004 17:38:20)
もいっちょ。

> もはや単純に本人の意思だけで行っていい・悪いってレベルじゃないでしょ。

いや、政府は法的に禁じてるわけじゃないんだから、本人が行くに足る理由がある、と考えたのなら行っていいんだよ。日本人には法に反しない限り自らの信念に従って行動する権利がある。

もちろん、他人に迷惑をかけて知らん顔、というのは人としてどーよ、と僕も思うけど、今回の発言に関しちゃ、単なる信念の発露とこちら側情報に対する認識不足なだけだと思うよ。

http://www.asahi.com/national/update/0416/013.html
この記事とか見るかぎり、家族の方々はこれまでの状況を十分理解させようと思ってるみたいだし、後は彼らに任せておけば大丈夫でしょう。

***

ところで、僕としては待避勧告を無視してイラクへ、という行動に対して政府が苦言を呈することは心情的に理解出来る、と書いたわけだが、リベラル系の方々などはこういった政府の行動そのものを批判しているようですね。

ジャーナリストである郡山さんの仕事 (彼の仕事そのもの、という意味ではなくジャーナリズムという意味で、ね) なんかは本当はとても大切なものなのに、政府 (小泉さんや福田さん) の態度のせいであたかも「勧告無視して行った彼らが悪い」のような世論が形成されている、と。そこからの帰結である「ジャーナリストも含めて現地に行くべきでない」という意見は、(現地で誰が何をしても知りようがなくなる、という意味で) 本来大変危険な発想だ、と。

ファルージャでのアメリカ軍の不穏な動きなどを見ていると、なるほど確かにそういう面もあるよなぁ、と僕は思うけどね。
SAK (Fri, 16 Apr 2004 18:48:33)
「人質解放の費用公表を」 政府・与党に自己責任問う声
http://www.asahi.com/politics/update/0416/007.html

「費用は20億円くらいかかったのではないか」

らしいので、何割負担するかは知らんが、とにかく人質3人は政府に損害賠償を支払うべき。あと、人質の家族も「人質の家族が東京での拠点に使った北海道の東京事務所の費用負担」もキッチリやること。
それが「勧告無視してイラクに行き、その結果迷惑をかけた責任」を取るって事。

帰国した人質が、これから何を言うににしても、先にやることやってからね。
うさ (Fri, 16 Apr 2004 19:35:19)
ま、ご家族の反応見てると、帰ってきてからがっつり怒られるっぽいので、それでちっとは発言考えるかもね。
つかな、ジャーナリズムってなに?とかオレ様思うなりよ。
ジャーナリズムだけ戦場で当たり判定ないの?無敵状態のつもり?何様?とか思うわけ。今回の事件は、拉致られて殺害される危険性が、誰にでも、平等にあるのですよ、という意味では価値があったかもしれん。よ。どうかな。どうだろう。
今回の事件だけじゃなくてさ。いろいろあんじゃん。そういう意味ではジャーナリズムに名を借りた野次馬根性って感じがしないでもなく。あんまそのなんだ、ジャーナリズムを振りかざすマスコミってオレ好きでなくて。
例えば捕虜の銃殺風景を写し続けて、で、お前なにが言いたいわけ?公開処刑に加担してるだけだろ?とか冷たく思ってしまうわけで。
だから「取材続けたい」とか言われても「黙れこの似非人権野郎」とか思ってしまうわけで。まあ、言い分はあるんだろうけど。
Digitune (Fri, 16 Apr 2004 21:28:35)
これは SAK へのお返事ね。
かかった費用を明らかにすることは大切だと思うし (何しろ税金だし!)、本人達に自らの行動の結果を理解してもらうことも大切だろう。なんにせよ命は助かったわけだし、これから本人達を交えて (最初の3人についての事件については) 事後清算をすればいいこと。とはいえ、彼らも被害者なわけで、自己責任比率が10割、ということはあり得んだろうよ。

そうそう、もう一つ気持ち悪いのは、誘拐した武装集団を非難する声がほとんど聞かれず、もっぱら3人ばかりが非難されている点。これはなんでなんだろう?この点、アメリカの人たちの方が話はシンプルで、もっぱら「イラク武装集団、テロリストが悪い」と言っている。3人に関してはパウエルさんも「日本人は誇りに思うべき」と言っていたそうだし。
この辺の考えを深く進めていくと、また「イラクの人がどう思っているのかなんて関係ない」というような結論に到達してしまいそうでブルーなんだが。
Digitune (Fri, 16 Apr 2004 21:32:54)
> ジャーナリズムだけ戦場で当たり判定ないの?無敵状態のつもり?何様?とか思うわけ。

ジャーナリズムの質に関する問題はいつの時代もあるけれど、それはジャーナリズムというものが成り立ってから初めて議論可能な話だと思うな。世界中どんなところでも自由に取材可能、なんて状況には現状ですらなってないわけで、ともすれば傾きがちな人々の価値観はさらに偏向させられていく。それを少しでも矯正するには、普遍的なジャーナリズムというものを実現する以外にないんじゃないかな?(普遍的なジャーナリズム、というのは全体主義的なイメージではありません。念のため)

質の問題はそれから考えても遅くないでしょう。
かぴえもん (Fri, 16 Apr 2004 21:44:18)
>「ジャーナリストも含めて現地に行くべきでない」という意見は、(現地で
>誰が何をしても知りようがなくなる、という意味で) 本来大変危険な発想だ、と

行ってもいいが、武装しまくった特殊部隊かなんかにくっ付いて行く
など工夫しないと超危険。今後は方々の意見を集めた上で適切な法的
規制を設けることですな。フッフフ。

要するに今回の件は本当は法的に規制したかったんだけどよく考えたら
ちょーどいい法律がなかったんでしまったっつー感じのことだな。そゆ
意味では政府側もぬかってるんだよ。また一つ経験に学んだと。

「命を粗末にするやつはバカだ」ってのはよく言う一般論なんでね。
危険だっつーのを聞けんてーのはそれに当てはまるから世論がその
ように言うのも道理。君の大切な家族、友人がもし君の必死な制止を
無視してわざわざ危険なところに突っ走っていってしまったとしたら
どうか。「このバカ野郎!」とたいがい思うもんさ。まあこの場合に
バカとゆってしまうのは確かに感情論であって必ずしも正しくはない
がね。
SAK (Sat, 17 Apr 2004 00:24:06)
賠償金だが「全額負担しろ」とは言わないまでも、あの3人に責任が無いはずないんだから「金の形で誠意をみせろ」って話ね。
もし3人が「助けてくれなんて言ってない。政府が勝手に使った金だろう」とか言い出すなら、それはそれで面白いのだが(笑)

誘拐したテロリスト連中は、しかるべき形(国際法とか強要行為処罰法違反(加重人質強要)の疑い)で捜査され、有罪であれば処罰されるべきであり、それを執行するのは政府。
まぁ、相手が特定されたら、米軍の手を借りての強制執行になるかもしれんが。

テロリスト相手には「取引せず、妥協せず、容赦せず」の姿勢であるべきだし、わざわざ非難や批判する必要なんてないでしょ。害虫とか病原菌と同じ。駆除するのみ。
SAK (Sat, 17 Apr 2004 00:27:16)
あと、今日の歓迎会、結局来たの? 幹事さんが「でぢつね氏来てます?」って心配してたが。
Digitune (Sat, 17 Apr 2004 02:39:59)
> 「金の形で誠意をみせろ」って話ね。

まぁ言いたいことはわかるが、どうしてそんなに偉そうなんだ?タックスペイヤーだからか?
直接的には無関係な君らがそういって彼らを糾弾するのは一般的にはリンチと言われるんじゃないかな? (言い分までまるでヤクザみたいだぞ。「D・V・D! D・V・D!」ってか・笑)。
金を出したのは君じゃなくて国なんだし、正式に国として損害を被った、と考えれば税金を預かる身としてちゃんと損害賠償請求なりなんなりするだろうから安心するよろし。たぶんね。

とはいえ、民主党の岡田さんも言ってたけど、僕は今回の事件レベルのことはイラク支援に関連して当然予想されておくべきことだったと思うんだよね (この辺が以前書いた「勧告」の意味と懐の深さ、という話)。彼ら以外にもバグダッド他にたくさん日本人はおり、そのうち誰が被害者になっても不思議はなかったわけで (現に12ヶ国、40人もの人が誘拐されてるそうじゃないの)。

僕は、イラクやその他戦災地域などで NGO 活動したり報道活動したりしている人達のために税金が使われることは適正な規模ならば歓迎だし、天下り役人の私腹を肥やすのに使われるのに比べたら全然良いと思うがな。

> テロリスト相手には「取引せず、妥協せず、容赦せず」の姿勢であるべきだし、

それは「テロリストとの交渉時」の原則であって、テロリスト自体の処し方の話ではないのでは?地下鉄サリンという前代未聞のテロ事件を起こしたオウムの連中にしても、国内法ではその場で (害虫のように) 駆除するわけにはいかず、きっちり裁判しているわけだし…。まどろっこしいかもしれんが、基本的人権を尊重するつもりならば当然引き受けなければならない慎重さだよな。

頭ごなしに「テロリスト」と決め付けてコミュニケーションを断絶してしまうと、より状況を悪化させてしまうこともある。可能な限り、コミュニケーションの可能性は残しておくべきだと思うけどね、僕は。

歓迎会の件、幹事には電話したよ。課長とずっと話してたんだが、結局並行線でした。SAK と同じこと言ってたよ(笑。
Digitune (Sat, 17 Apr 2004 03:06:13)
珍しくかぴえもんとあまり意見が対立しないね(笑。

「政府がぬかってる」というのはそう思うが、法で渡航規制する、という方法がベストかどうかは微妙。与党内でも「憲法で保証されている移動の自由との兼ね合い」「渡航禁止に出来るようにすると禁止していない地域で問題が生じた時に政府の責任問題になる」などの意見が出ている模様。

> 「命を粗末にするやつはバカだ」ってのはよく言う一般論なんでね。

そっち系で怒っている人はあんまりいないんじゃないかな (政府関係者で言えば川口さんくらいか)。小泉さん、安部さん、福田さん、その他大勢の心情的な意見はもっとシンプルで、「国のやることの邪魔するなよ」という方向なような気がする。だから僕は、国にはその程度の散乱を余裕で吸収するくらいの懐の深さが欲しい、と言ってきたし、国民は政府というガキ大将の言いなりになってリンチするんじゃなくて、政府の行動が間違っていないか、さらに徳の高いものと言えるのかどうかまで常にチェックするという方向にこそ目を向けるべきだと思う。

個人と国ではシステムの規模が段違いなんだから、要求するものの規模も段違いで良いわけさ。国にはより高度な要求をしよう。個人には寛容であろう。
SAK (Sat, 17 Apr 2004 09:18:46)
> どうしてそんなに偉そうなんだ?
俺が人質になってたあいつらが嫌いだからヽ(´ー`)ノ
つ〜か知ってるだろ?

オウムの連中に関しても、当時の法律を総動員して害虫のように駆除(逮捕拘束)したわけだが。
日本は法治国家である以上、テロリスト相手でも法律無視して問答無用はできない。必ず、理由付けする必要がある。もっとも、人によってはとんでもない理由で逮捕されてたよな(笑)

原則に「交渉せず」が無い以上、コミュニケーションを断絶する必要はないよ。
ただ、今回の相手は、双方向な対話を望んでいなかったと思うけどね。
Digitune (Sat, 17 Apr 2004 11:25:52)
> つ〜か知ってるだろ?

うん。なるほど、単純にそういう話か。

> 当時の法律を総動員して害虫のように駆除(逮捕拘束)したわけだが。

駆除、なんて言うから問答無用でブチ殺しなんだと思ったよ(笑。

> 原則に「交渉せず」が無い以上、コミュニケーションを断絶する必要はないよ。
> ただ、今回の相手は、双方向な対話を望んでいなかったと思うけどね。

今回の相手が最後までメディアを利用していたところを見ても、個人対個人、というコミュニケーションは望んでなかったかもね (いろいろリスクも大きいし)。ただ、より大きいレベル (メディア上) での対話 (コミュニケーション) まで望んでなかったわけじゃないと思う。彼らがメディアレベルで対話してきたんだから、こちらもメディアレベルで対話すれば良かったわけだ (この辺が「イラクの人への分かりやすい約束」あたりの話)。
ぴこえもん (Sat, 17 Apr 2004 14:50:52)
> 珍しくかぴえもんとあまり意見が対立しないね(笑。

んじゃー対立させよーかー。

ちうか外交問題とかって割とOOSなんだよね。世界は一家、人類は皆兄弟だろ。皆日本語を使いたまえと。

法規制化に関しては「この場合はさすがに規制してもいーだろこのやろう」というポインツを押さえることですな。

> そっち系で怒っている人はあんまりいない

そっち系ぽく見えない人でもそっち系がまったくないわきゃない。そこがまづ根底だろう。
当たり前の根底過ぎるんでわざわざ言わないだけ。

ウチの親父は俺が小さい頃、ちょっとでも道路に飛び出そうものなら即行で鉄拳パンチした。
当たり前の根底とは言え、国際問題がどうのテロへの態度がどうのと言うばかりでなく、ベタベタに「命を粗末にするなー!コルァ!」と憤るのがいたっていいもんだがね。
うさ (Sat, 17 Apr 2004 15:20:50)
お、なんか意見の応酬がずらずらと。
ま、これからは「あたしはなんかされても文句言いません」と、いく前に一筆書かせて、とかなんか政府としても予防線を張るなりなんなりするといんじゃないですかね。
「おまえここに証文残していったじゃん、殺されてもしらんよ」と。そっち系ってのはぴのすけのいうように当たり前すぎて言うやつがいないだけだと思う。
なんつーか、彼らの行動ってのはなんか、あれだ、背後に自己満足が見え隠れすんだよね。うがちすぎかね?「オレはイラクで人助けすんだ!」「イラクで写真をとるんだ!」みんな、多かれ少なかれ自分の欲求を満足させるために動いてんだな。
崇高な使命とやらを遂行する自分に満足感を感じてるというか。
なんかそのへんがオレとしては気に食わないのではないかと自己分析してみたり。
Digitune (Sat, 17 Apr 2004 15:38:13)
> なんつーか、彼らの行動ってのはなんか、あれだ、背後に自己満足が見え隠れすんだよね。うがちすぎかね?

昨日話してたウチの課長も全く同じことを言ってたから、結構そういう見方も普通なんじゃないかな。その辺は他人の行動に対するそれぞれのスタンスの違い、ってやつだよねぇ。どんな行動にも利己的な面、利他的な面あるわけで、どちらを強調し過ぎても俺は間違いだと思うんだけど…。

> いく前に一筆書かせて、とかなんか政府としても予防線を張るなりなんなりするといんじゃないですかね。

マジこれからアホが増えて、救援費用だけでも馬鹿にならん!という話になってきたら、救援費に上限設けるとか、保険必須にするとかいろいろアイディアは出てきそう。

しかし政治家のおっさんたちはいろいろ言ってるけど、
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20040416ia26.htm
「政府にとって、自国民の救出は通常業務」(外務省幹部)というコメントにゃ、久々に役人魂を見たね。

そうそう、やっぱり今回ぴこえもんの言ってることに反対する気は起きないなぁ。「日本語を話せ」は冗談としても(笑。
ぴこえもんはいい父親になるよ、ほんと。
ぴこえもん (Sun, 18 Apr 2004 21:23:04)
>「日本語を話せ」は冗談としても(笑。

冗談にされてしまったようだ。フッフフ。

  1. 外務省の勧告が見られるページの最初に、「※ また、法令上の強制力をもって、個人の渡航や旅行会社による主催旅行を禁止したり、退避を命令するものでもありません。」と書いてあります。 ↩︎

  2. とはいえ、改めて原作を読んでみると、そのエッセンスはほとんどもらさず盛り込まれています。スゴイ。 ↩︎