bird定期演奏会、終了

定期演奏会、終了

今週の火曜、今年も母校のコーラス部の定期演奏会に OB として参加させてもらいました1。今年の合同ステージの演目は吉原幸子作詞、新美徳英作曲の「幼年連祷」でした。この曲は、ちょうど僕が高校1年生の時にやっぱり定演で歌った曲だったので、なんだかとても懐かしい感じでした。
それにしても、今年の2年生の指揮者二人(うち一人は部長も兼務)は実に素晴らしかったと思います。二人とも身の内から音楽がほとばしってる。そりゃ、指揮を始めて間もないのだもの、技術は未熟な点がたくさんあるでしょう。しかし彼女らの内から湧きいでる「音楽」に、僕はいたく感激してしまった。
演奏会後の打ち上げで大先輩にも言われたんですが、最近合同ステージに参加するとき、僕はもっぱら一参加者として、練習の時などもあまり意見を言ったりはしないようにしていたんですが2、彼女らのような指揮者とはもっと深いところでちゃんと議論すれば良かったなぁ、と少し後悔しました。
今回の曲で言うと、僕が一番気になった(食い足りなかった)のは、曲の構成への理解でした。5曲の組曲としての構成もそうですし、一曲一曲の中での構成もそうです。たとえば終曲「喪失」に現れる「ビー玉」は明らかに3曲目の「憧れ」につながっているし3、2曲目の疾走するリズムの中でのうねりや突然の変化、また4曲目における微妙な、本当に微妙なリズムの組立てなんかについて語り合えたら、もっと楽しかっただろうなぁ、と。
練習では、ピッチが甘いとか、和音が乱れてる、日本語の発音が変、といったことを直さなきゃいけないのは確かなんですが、漫然と歌っていたときには気が付かなかったような、作詞家、作曲家の隠れた意図と思われるようなものにふれたときのゾクゾクする感じ、それもぜひみんなで味わいたいのですね。
そういう話も彼女らならふつーに議論できたであろうこと(むしろ僕よりも深い洞察を持っていそうです・汗)、あーもったいないことをした、と思ったのでした。
それにしても、第一ステージ4の完成度は高かったなぁ…。ふぅ。


  1. 毎年、OB/OG との合同のステージをひとつ、用意してくれるのです。僕らが現役の頃は、「コーラス部」というと吹奏楽部などとは違いあまり人気のある部ではなくて、僕の代などは特に男声は一パート一人、というような有様でした。そんな時代ならば、「時には大人数、大ボリュームで歌いたい」という気持ちで合同ステージを企画するのもわかるんですが、今や一学年20名以上、というほどに成長し、僕の時代には夢のまた夢だった NHK コンクールで金賞を取ったりしている(地区予選ですけれど)今のコーラス部で、必ずしも合同ステージをやらなきゃいけない、ってことはないとおもうんですよ。合同ステージはいつにない大ボリュームで歌える代わりに、どうしても練習量の限られる OB/OG と一緒なので演奏の緻密さ、という意味では限界がありますし。現に僕の2つ上の世代の先輩方は、そういう合同ステージの雑なところを嫌って、あえて企画しなかったりしていましたから。そんな風に思う現役は今はいないのかしら、と少し心配になることもあります。もちろん、乗せてもらう OB の立場からすると、そのように成長してすごくうまい今の現役世代と共に歌える、というのはすごく嬉しいことなんですけれど…。 ↩︎

  2. 練習開始が年明けで本番が3月と、時間的な制約が大きいこともありますし、現役生と自分の年齢が離れるにつれて、自分の意見が実際以上に大きく、重く受け取られかねないのを危惧しているせいでもあります。リアルな僕を知っている人ならわかるように、たいていの僕の意見はフィーリングで、根拠レスに出てくるものも多いので…。 ↩︎

  3. それを意識したとして歌い方がそんなに劇的に変化するわけではないのですけれど、歌い手にとっては、ただ漫然と5曲並べられているわけでなく、そのように有機的に構成されているんだ、ということを知ることで、もっともっとこの曲が好きになれたりすると思うんですよね。 ↩︎

  4. ちなみに合同ステージは第三ステージ。 ↩︎