「エヴリブレス−Every Breath−」
「エヴリブレス−Every Breath−」
瀬名秀明著。新聞広告のキャッチコピーが、この話の印象と非常に似ていたところに興味を惹かれ、図書館で借りて読みました1。もともと、TOKYO FM のラジオドラマの原作として書かれたお話ゆえか、全編ラジオに対する愛にあふれた、一組のカップルにまつわる現実世界での 100 年、仮想世界での永遠にわたるお話。ちなみに実際に読んでみるとぜんぜん似てませんでした2。
この人の本にしては結構楽しめた方なのだけれど、どうも僕にはこの人の書く表現がときどき、うまく理解できないというか、脳みそにイメージが湧いてこないことがあります。ちょっと引用してみると、
「でも、でも」柚希は答がほしくていった。「いま苦しかったらどうするんですか?私なんかがいえることじゃないけど、でもいまどうしても辛くて、どうしようもなかったら?永遠に苦しむことになったら?できることで、できないことを変えるなんて本当にできるんですか?」
「だからぼくたちには、優しさと勇気の両方が必要なんだよ」
「それが過去と未来ですか?」
「“いま”のぼくたちにある、まなざしのことだ」
柚希は口を噤んだ。瀬名秀明著「エヴリブレス」より引用
上記は主人公杏子の娘、柚希の仮想世界での分身と、もう一人の主人公洋平の交わした会話で、かなり物語の核心となる部分なのですが、僕にはどうしても意味が分からなかった。この部分が理解できないことで、僕には結局洋平が何を考えていたのか、が最後までよく分からなかった。それが分からなくても十分楽しめる小説なのですけれど3。
何年か経って読み直したら分かる日がくるのかな…。