「やがてヒトに与えられた時が満ちて…」
「やがてヒトに与えられた時が満ちて…」
池澤夏樹著。NHK の「NHK スペシャル 宇宙 天に満ちる生命」に収録されていたという短編4編「星空とメランコリア」と、中編「やがてヒトに与えられた時が満ちて…」を含む文庫です。
著者の本としては珍しく(?)、かなりきっちりした SF の体裁を持った本です。人類の終末とファースト・コンタクトを描いた作品、というとクラークの「太陽系最後の日」(「明日にとどく」(絶版?) に収録) や「幼年期の終わり」なんかを思い出させますが、それらとは全くテイストの異なる、現代を生きる我々にある意味とてもふさわしいと思えるような小説になっている点が、とてもおもしろかった。これまでの池澤さんの本からは連続性のある話だと思うんですが、SF 的視点で見ると非常にユニークなお話だと思う<ほめ言葉です。
ところで、僕もこの本を読み始める直前に、ちょうどたまたま柏井勇魚さんの「コンパスとプログラム」「此処から一番遠い場所」を読んでいて、不思議なシンクロニシティを感じました。僕もボイジャーの送ってきた写真には心躍らせた世代です。