「サブカルチャー神話解体」, 「ラギッド・ガール―廃園の天使〈2〉」, 「ウンコな議論」, ずいぶんながいこと
「サブカルチャー神話解体」
宮台真司・大塚明子・石原英樹著。60 年代から 90 年代にかけてのサブカルチャー1、中でも少女漫画、音楽、少年漫画、性風俗について、言いたい放題語っている本(笑。会社の同僚、O 氏に借りて読みました。
いや、いちおうこの本が書かれたのは 90 年代で、結構ちゃんとしたフィールドワークに基づいた分析とかも行ってて、当時結構話題になってたような気がするんですけど、今読んでみるとほんと、自分らの経験、つまり若い頃なら結構誰でも経験のある、興味のある事柄について仲間内で喧々囂々やりあった議論に基づいているとしか思えない、ひどく独善的ながら納得性のある議論が目くるめく展開されていて(笑、まったくもってチョー面白い本でした。使われている言葉なんかは結構難しくて、そのあたりも「議論好きの文化部 (運動部に対する意味の) 出身者」という香りがプンプンして、ちょっと懐かしい感じがしたり。僕も筋金入りの文化部ヤローだったので…。「諧謔趣味の議論好き」のかもし出す、鼻持ちならん居心地の悪い世界、というのにもとっても身に覚えがあるなぁ(笑。イヤマッタク、進学高の文化部なんて今もきっとそんなやつらのスクツ (←なぜか変換できない) ですよ。
あんまり面白い本だったので、増補版となっているらしい文庫を僕も買ってみようかと思いました。ところで作者は僕らより一回り年上なので、僕らと同世代の人がこんな感じの本を書いたら、どんな事を書くのかとても興味があります。誰か書いてないのかなぁ?
「ラギッド・ガール―廃園の天使〈2〉」
飛浩隆著。先日読んだ「グラン・ヴァカンス―廃園の天使〈1〉」の続編で、前作でも印象的に語られていたジュリーとジョゼ、そして硝視体 (グラス・アイ) の出会いが語られる「夏の硝視体」、『数値海岸』の誕生の物語であり表題作の「ラギッド・ガール」、やはりリアルワールドと数値海岸のもう一つのかかわりを記した「クローゼット」、『大途絶』の真相の物語「魔述師」、そして前作のラスボスであったランゴーニの物語「蜘蛛 (ちちゅう) の王」の5編からなる中短篇集。
前作で残された謎に対する、いわゆる「種明かし編」となる2作目ですが、そのかなりの部分が明らかになるとはいえ、まだいくつか大きな謎が残されています。それらの解説は第三部のお楽しみ、ということなのでしょう。今作で次々明かされる謎も、それほど意外と感じるものはなく、丁寧に物語の密度を増していっている、という印象。前作では封印されていたという SF 的背景説明についてもそんなに斬新なところはなくて、そんなところも「ハイペリオン」シリーズとの類似を感じさせる部分かもしれません。
結論としては、面白かったです。三作目が出たらまたちゃんと読もう、という気になりました。
「ウンコな議論」
ハリー・G・フランクファート著、山形浩生訳。57ページの本編に、47ページの訳者解説がついている、という変な本。これも O 氏に借りたんですが、O 氏的には「訳者解説の方が面白い」とか。
「ウンコな議論」とはすなわち、おためごかし、屁理屈、その場を取り繕うためだけに繰り出される、どうでもいい議論のこと。山形氏が解説で上げている例としては、当時の民主党岡田代表の質問に対して小泉首相が返した言葉、「人生いろいろ」などはウンコな議論の最たるものなのだとか2。フランクファート氏曰く、嘘はまだ真実に対する視点を持つだけマシで、ウンコな議論は「真実だろうが嘘だろうが関係ない」とそもそも物事の真理性への意識を放棄している時点で、より有害なのだそう。そう言われるとそんな気もする。山形氏が上げている他の例、東南アジアのとある国の大臣のお言葉 (これがまた激しくウンコなんだ) が超面白かった。
ずいぶんながいこと
書いてませんでした。僕の日常は相変わらずで、最近変わったことといえば会社パソコン (Windows XP マシン) のテーマを変更したくらいでしょうか。今は無き (なんて書くと怒られそう・笑) Zune のテーマを拾ってきて入れてみました。これ、なかなか Good ですヨ。
コメント
- ねおん (Sun, 28 Oct 2007 10:41:32)
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まあ日本人は特に、空気嫁じゃからな。批評は不得意じゃし、ウンコな議論大好きじゃよ。
ちなみにここだけの話じゃが、スクツじゃなくてソウクツじゃな。
- Digitune (Mon, 19 Nov 2007 22:51:49)
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ウンコ好きですよねぇ、日本人>ねおんさん
とはいえ、最近僕も知らず知らずのうちに「ウンコな議論」を展開していることに気が付いて、反省しきり。これも一つの処世術とは言え…。
あと、お約束の突っ込み、どうもありがとうございます(笑。