「密やかな結晶」, PS3 1.80
「密やかな結晶」
小川洋子著。身の回りのものが一つずつ消滅していく「島」での出来事を、小説家である主人公の視点からつづった物語。
消滅、といっても物理的に消えてしまうわけではなくて、ある日突然、人々の心の中からその概念が消えてしまうのです。言ってみれば「死語」のような、しかしそれがもっとドラスティックな変化として起こるのです。しかも、「島」にはその「消滅」をより徹底させるための「秘密警察」なるものも存在し、「島」の住人は日々の消滅と秘密警察双方におびえつつ、それでも毎日けなげに生きているのです。
…というようなある意味突拍子もない設定の本作ですが、解説に書かれている通り、全体のテイストはちょっと「アンネの日記」を彷彿とさせるものがあります。全世界規模でさまざまなものが失われていく世界で、それでもなお人々は助け合いつつ日常を生き続けている。ラストシーンも、明るい日の光の差す、希望を予感させるものながら、その読後感はとても悲しいものでした。
喪失そのものや、にべもなく奪われゆくもの、などについて考えさせられるお話でした。
PS3 1.80
もうすっかり古い話題ですが、先日 PS3 の firmware が 1.80 へバージョンアップしました。
このバージョンでの一番の話題は、なんといっても DVD、PS1/PS2 ゲーム等 SD ソースの HD ディスプレイへの出力時にアップコンバート処理が可能になったこと。ただ、我が家は SD テレビなので関係ないかーと思っていたんですが、ところがビックリ、PS1/PS2 ゲームの設定、「スムージング」を on にすることで、かなりジャギーが低減しました。SD でも効果あるのね。
次なるアップデートでの個人的な期待は、そこそこマトモな Virtual Surround 機能の搭載、かなー。DVD に 5.1ch とか収録されてても、我が家の2スピーカー構成ではまるで宝の持ち腐れですからね。