「The Best of Free Design」, 「カラマーゾフの兄弟」
「The Best of Free Design」
飛行機の中で見た映画で使われていた曲が気に入って、この CD を Amazon で買ってみました。輸入盤だからか配達にとても時間がかかり、しかも届けられた CD はケース裸 (ラッピングなし!) で結構ワイルド。まるで中古みたい。でも僕はそういうのあまり気にしないほう。
買ってみて初めて知ったのですが、このアルバムは60年代末〜70年代初めにかけて発表された曲を集めたものだったのですね。70年代初めと言えばちょうど自分が生まれた頃ですよ。ちょっとびっくり。ネットにはあらゆる情報が集まっていて非常に便利ですが、その情報やコンテンツが古いものなのかどうか、というような属性はぱっと見分からないことがありますよね。今回のような例では、そういうフラットネスが非常に幸せなことではあったわけですけれども。
肝心の内容は、というと、とても気に入りました。綺麗なコーラスワークとちょっとマドリガルを思わせるようなコロコロとしたメロディの曲が多くて、まさにツボ。しかしこれだけ古い曲で、かつ今まで生き残っているとすると、比較的隆盛したジャンルだったりするのかな、と思いちょっと調べてみたんですが、なんだか「ソフトロック」とか「ビーチボーイズ」とかいうキーワードに遭遇。個人的にはちょっと「?」な繋がりをしていて、ちょっと不思議&面白かった。普通はどんなところと繋がるんでしょうね?
「カラマーゾフの兄弟」
ご存知ロシアの文豪、ドストエフスキー著。以前読んだ「罪と罰」が思いのほか面白かったので1、ドストエフスキー一番の傑作と言われるこれも読んでみました。これって彼の最後の長編だったんですね。何でも構想では現存するものは第1部で、この後もっとアリョーシャの活躍する第2部があった、というから恐ろしい限り。いや、今のものでも十分長いので…(笑。でも確かに、冒頭でアレクセイが主人公である旨が語られるのに、本編ではかなり存在感が薄ゲだったりする点には、実は第2部があった、という話にも納得させられるところがあります。
さて、肝心の内容は、というと、今回の初読では僕は「罪と罰」ほどにはのめり込めなかったかな。前知識0で読んだので、カラマーゾフ3兄弟の人となりが全く分からず、加えて3人の父親、「あの」フョードルのとんでもない行為に関する記述をいきなりぶつけられて、ハナからバイアスかかりまくりで最初ちっとも感情移入できませんでした(笑。流石に下巻に入る頃にはだいぶん様子も分かってきて、最後の裁判のくだりはかなり没頭して一気に読んでしまいました。エピローグのカテリーナ、アリョーシャのたくらみやアリョーシャの子供たちに対する演説は、とてもすがすがしくて未来への希望にあふれているように感じられました。
一般的には上巻ラストにある、イワンの「大審問官」が白眉、と言われているようですが、天邪鬼な僕は、「そうかなぁ?」という感想。確かに面白い話ではあるのだけれど。キリスト教的な素養がなさ過ぎるのが問題なんだろうか。
「罪と罰」ではあまり感じなかったんですが、この本を読んでいるときに度々、村上春樹の小説を思い出しました。特にイワンのくだりで。ドストエフスキーくらいの文豪になると、ほとんど全ての小説家に影響を与えているといっても過言ではないのでしょうが、思えば村上春樹の小説にはこの本の影響が色濃く出ている感じがしますね。
ところで、この「カラマーゾフの兄弟」は最近新訳が出て話題になっているんですってね。僕が読んだのは旧訳の方ですが、今度機会があったら新訳の方も読んでみたいです2。