bird「クビキリサイクル―青色サヴァンと戯言遣い」, LUMIX の怪奇現象

「クビキリサイクル―青色サヴァンと戯言遣い」

クビキリサイクル―青色サヴァンと戯言遣い 西尾維新著。以前からそのベタなタイトルセンスとペンネームセンス1でちょっと気になっていたこの本を読んでみました。タイトルや装丁、挿絵があることから僕はすっかりラノベ (ライトノベル) だと思って読んでいたんですが、実はシリーズとしては講談社ノベルズだし、メフィスト賞を受賞していたりと、結構由緒正しいミステリーなのね<?。

読後の感想を一言で言うなら、「くどい」。文章もくどいしキャラクターもくどい。トリックから全体の構成まで、何から何までくどい。こおゆう「くどさ」が苦手な人にはお薦めできませんなぁ。だってヒロインちゃんの一人称が「僕様ちゃん」なんですよ?主人公は独り言に自分で「所詮戯言」と突っ込んで卑屈に徹しているし2、美女天才わんさか、美人三つ子メイド (しかも一人は萌え系で一人は格闘系)、てな感じで、もーおなかいっぱいっす、という感じの読後感でした。(最後の最後でエキセントリックな超絶美人万能天才が真っ赤なスポーツカーで登場するし・笑)

またもう一つ気になったのは、やたら続巻への伏線が多いこと。「5年前」への思わせぶりな記述が山ほどあるわりにこの本では一切触れられないし、今回の登場人物たちもいかにも「あとでまた登場しますよ〜」的なせりふを吐いて退場していく。続きを読めばカタルシスを得られるのかもしれんが、なんだか作者の術中にはまったように感じてあんまり気持ちよくないのではなかろーか (この辺のさじ加減は難しいけどね)。

あと、ヒロイン玖渚友3が、劣性遺伝の青い髪を持つ、サヴァン症の天才少女エンジニア、という設定なのにもちと引っかかった。サヴァンは一般的には自閉症の一種を指すのではなかろうか。Wikipedia によれば4、サヴァンだからといって必ずしも自閉症とは限らないそうだが…。何となく「天才」をリアライズするための道具としてのみ「サヴァン」というものが使われているように思え5、あんまり気持ちよくなかった。

青い髪、というのも現実にはありえなさそう<当たり前だ(笑。ちなみに青い目というのは現実にあるけれど、あれは別に目に青い色素があるわけではなくって、空の青さと同じ理由 (青の波長の光が瞳で拡散) で青く見えているんだそうです (by 「宇宙のたくらみ」)。そう考えると、青い髪の方はちょっと難しそうだよね。

というわけで、万人にお薦めできる本ではないけれど、ミステリーとしては及第点なんじゃないでしょーか。トリックに関する「感想」はこれ以上書くとネタばれになってしまうので書けない…<これもネタばれ?

LUMIX の怪奇現象

我が家にはお手軽デジカメとして LUMIX DMC-FX1 があるのですが、最近ちょっと気持ち悪い怪奇現象が発生していてちと困り中。
というのも、ある程度電池が減った状態で放置しておくと、夜中にいきなり電源の on/off を繰り返すのです。当然スイッチが off になっていることは確認済み、誰も触ったり揺らしたりしたわけではないのに、急にレンズを繰り出し、仕舞い、をひたすら繰り返して、しばらくするとパタリ、と止まります。そしてまたしばらくするとそれを繰り返す…。
最初いきなり動き始めたときには、何の音だか分からずいろいろ探してしまいました。夜中に勝手に急に動き出すので、ちょっと気持ち悪いです。そろそろ寿命なのかしら。


  1. 訓令式ローマ字(笑)で書くと「NISIOISIN」とシンメトリになるのです。 ↩︎

  2. サブタイトルの「戯言遣い」というのは、何のことは無いこの卑屈でいつも「戯言戯言」言っている主人公のことを示しているだけなのです。 ↩︎

  3. くなぎさとも、と読む。相変わらずラノベの人物には難しい名前が多い(苦笑。ちなみに主人公は「いーちゃん」。 ↩︎

  4. ちなみにここはちょっと笑うところ。というのも、Wikipedia というのは「誰でも編集可能な」ネット上の百科事典なので、何らかの文章でそれを引用する、ということは基本的には意味が無い (その文章を書いている本人がその参照している Wikipedia の本文も書いている可能性があるので)。 ↩︎

  5. や、まさにそうなんだろうけど。先の Wikipedia のエントリを見ると、サヴァンを扱ったお話は山ほどあり、それらの中には同じような扱いの本も多そうなんで、そんなに珍しいことではないらしい。 ↩︎