「天の向こう側」
「天の向こう側」
アーサー・C・クラークの短編集です。表題作「天の向こう側」は、スペースコロニーでの日常を描いた連作短編、他に似たような構成の「月に賭ける」、ラストが衝撃的な「90億の神の御名」、後の同名の長編の元となった「遥かなる地球の歌」など、14作を収録しています。一冊の文庫に14作、という量からも分かるように、僕は短編、というよりもショート・ショートに近いような印象を受けました (ただし「天の向こう側」と「月に賭ける」は別です。それらはそれぞれが更に6編の小編からなります)。
それにしても、やっぱりクラークは良いですね。この短編集に収録された作品は 1950 年代前後に書かれたものだそうですが、驚くほど古びていないです。「宇宙のランデヴー」でも感じたことですが、SF 的世界の中での日常、を描くのがとてもうまいと思います。それも、変に下世話になったりなれなれしかったりするのではなしに、なんだか格調高い感じ。そもそも半世紀以上も前に書かれた小説だからなのかもしれないけれど…。
クラークの4冊の短編集のうち、「明日にとどく」1は読んだけれど、「前哨」と「白鹿亭奇譚」はまだ読んでないなぁ。これらもいつか読みたいものです。
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これがまたとんでもなく良い本だったんですよね。今は絶版中のようですが、この本のように新装版として出てくれないかなぁ。 ↩︎