「アイの物語」
「アイの物語」
「神は沈黙せず」の山本弘著。SAK に借りて読みました。読んでいて、「幼年期の終り」やら「ディアスポラ」やら「アシモフのロボットもの」やら過去読んだいろんな本が思い起こされました。いろんなことを思い起こさせてくれる本は、良い本だ。
「神は〜」に続く二作目の長編だそうですが、長編、というよりも連作短編集という趣の本。ただしだからといって幹が細いわけではなくて、とてもバリエーションに富んだ短編たちの中に、これまたしっかりした幹が込められています。そういう意味じゃ、とても「おトク」なお話かもしれない。
ただ、作者の処女長編だった「神は〜」と比較すると、こちらの本は良くも悪くも肩の力が抜けている印象。「神は〜」にはそんじょそこらのポピュラーサイエンス本も真っ青なくらい、雑多な知識が詰め込まれていましたが1、こちらはもっとノリノリで書かれた感じがします。読んでいて最初に感じた印象が、「やけに現代日本っぽい小説だなぁ」というモノだったんですが、いったいこの話の何がそう感じさせるんでしょうね。ラノベや漫画といった現在日本風俗にテイストが近いからかなぁ。
「神は〜」の山本さんの AI に関する本だから、そっち系の薀蓄も山ほど入っているに違いない、というふうに期待してしまうと、ちょっと裏切られちゃうかも。その期待からすると、もっとずっと叙情的なお話です。描かれている AI もとても Typical。
ちょっとラノベっぽいテイストに抵抗がなければ、とても楽しめると思います。個人的には「詩音が来た日」が良かった、と、思う。
コメント
- ねおん (Fri, 27 Apr 2007 21:27:21)
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AIといえば、最近のワシのPS3でもっとも稼働率が高いのは「がんばれ森川くん2号じゃ」w
- Digitune (Tue, 01 May 2007 22:13:53)
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うはっ(笑。それは…>ねおんさん
アーカイブスタイトルが PS3 でも使えるようになって、僕も買ってみたりしたんですが、そうなると今度は PS2 タイトルもダウンロードで買えるといいなぁ、って感じますね。ICO はいうまでもなく、PS2 前期にも Evergreen なタイトルはいろいろありましたから…。
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山本さんらしい「ト学会」ネタも多数。 ↩︎