Thunderbird と Google Desktop, 「医療崩壊―「立ち去り型サボタージュ」とは何か」
Thunderbird と Google Desktop
僕は最近、普段使いの MUA としては Thunderbird を imap で使っています。基本的な使い勝手は悪くないし1、Enigmail と組み合わせれば gpg (pgp) との連携もばっちりだし、総じて満足、満足。
ただ、一点大きな弱点がありました。それはメール本文に対する検索のスピードがとても遅いことです。機能自体は存在するのですが、なんとなく全メールに対して grep をかけているようなスピードで、しかも imap 経由 (Debian の courier-imap) で使っているとサーバ接続がタイムアップして実質検索が出来ない、という体たらく (これって何か workaround あるのかなぁ?)。メールの件名・送信者のみに対する検索が爆速なのに比べるとイマイチだなぁ、とずっと思っていました。
そんな時ふと、Becky!2 から Thunderbird へ乗り換えた、という人のブログを見つけました。そのブログでは Thunderbird に対する Becky! の弱点がいくつかあげられており、その中に「Google Desktop と連携できない点」という項目がありました。え?Google Desktop?
これまで僕は、「デスクトップ検索」というものに個人的にはほとんど興味がなかったため、Google Desktop も一度もインストールしたことがありませんでした (そもそもファイルのありかが分からなくなって困ることがあんまりなかったですし)。しかし、「Google Desktop を Thunderbird のメール本文検索として使う」ことが出来る、となると、俄然興味が湧いてきます。考えてみると、デスクトップ検索の先駆である Apple の Sherlock でもメールの検索が出来ましたよね。うーん、どうして今まで思いつかなかったのか。
というわけで、Google Desktop を初めてインストールしてみて、試してみることしばし…。うーん、これはなかなかいい感じですねぇ。タスクバーに Google の検索窓が開いて、ローカルにあるファイル、メールに対するインクリメンタル(!)・サーチが Google スピードで出来るし、僕のように imap で使っている場合も、たとえローカルにメール本文をダウンロードしていなくてもきちんとインデクシングしてくれます2。検索結果は最初ブラウザ内に表示されますが、そのページにある「Thunderbird で開く」リンクをクリックするとすぐ Thunderbird で同じメールが開き、そこから直接返信したりも可能です。うーん快適!
弱点、といえば、ほぼ全文検索とはいえキーワードの選び方によっては微妙に狙ったメールがヒットしないことがあったり (日本語の単語の切り出しがイマイチなのかなぁ?)、インデクシングに結構時間がかかる点、検索結果が最初ブラウザに表示され、かつ Internet 上の結果も一緒に表示される点 (ちょっとワケワカな感じ。カスタマイズできるのかな?)、くらいでしょうか。
これはお薦めですよ!(いまさら?・笑)
「医療崩壊―「立ち去り型サボタージュ」とは何か」
小松秀樹著。虎の門病院泌尿器科の現役の部長である著者が、昨今の日本の医療がおかれた危険な状況に対して警鐘を鳴らしている本。
危険な状況とは、例えば、大病院に勤める勤務医と開業医間の収入や責任の重さの格差から高度治療にかかわる事の出来る勤務医がどんどん減っていることとか、医療事故が刑事事件として立件されるようになった弊害、例えばリスクのある治療に挑む医師が減っていること、安全・安心願望を増幅するメディアによる (現場の医師から見れば) 理不尽なバッシングなどがあげられています。前に少し書いたように、医療に対するメディア、またそれに影響された一般の人の見方である安全・安心願望と、医療の本質との差異が昨今の不幸な状況を生んでいる、という意見はその通りだと思う。医療がリスクを伴う「侵襲行為」であることを理解し、医師が自分に施そうとしている処置のリスク、他の処置との比較検討が出来るようになれば、未然に防げる事態もあるように思う。
全体に、ちょっとびっくりしてしまうほど小松さんの「お医者さん」としての本音が吐露されていて、普段お医者さんという人たちがどんな事を考えているのか知りたい人にもお薦め。