全ての情報は IP で流れる, その後の VAIO 君
全ての情報は IP で流れる
DLNA の流れや Sony のロケーションフリーとかルームリンク、言わずと知れたネットワークメディアプレーヤー達 (1, 2, 3) から先日発表になったカノープスの新製品などを見ていて、近い将来、家庭内情報流通は全て IP 上に統合される日が来たりして、とふと思いました。
現在、家庭内の映像情報、音声情報は非常に多種多様な経路、形態を通してやりとりされています。例えば映像ならばデジタル/アナログな放送波や DVD メディア、Internet 上のコンテンツなどから始まって、コンポジット/コンポーネント/HDMI 端子を経由してディスプレイへ。音声にしても、様々なソースを様々な経路・形態を通してアンプへ送り、スピーカーから出力しています。このような、いわゆる「メカに詳しい人でないと配線すら出来ない」というような状況も、アナログ時代においては信号の重畳にも限界があったしそもそも重畳なんかすると信号品質が落ちる、ってことで仕方がない面があったと思います。しかし、あらゆる情報がデジタルフォーマットで扱われるようになれば、重畳によるデメリットはなくなり、帯域が許す限りあらゆる情報を単一の経路を通して送ることがごく簡単にできるようになります1。デジタルデータを取り扱う統一的なプロトコルがありさえすれば、物理的な伝送路の規格についてはその用途や利用形態などで適切なものが選べばよくなります (長い経路長が必要なら Ethernet とか、スループット保証が必要なら IEEE1394 とか、無線 LAN とか電灯線 LAN とか…)。
ツルピカ液晶を装備したノート PC が増えてきた結果、家の中を移動しながらムービーを見たい、というニーズをとらえて上で言及したカノープスの製品のようなものが出てきました2。また、放送や DVD 以外に、Internet から入手されるムービーの量が増えてきたことを受けて、ネットワークメディアプレーヤ市場も立ち上がりました。それらは必然的に、現在の PC にとってもっとも自然な通信手段、IP を用いて通信されることとなりました。家庭内ネットワークにおいて AV 情報をやりとりするための DLNA においても、ごく当たり前のように IP が利用されることとなりました。このまま、全ての情報流通が IP 経由になってしまえば、いろいろとメリットがありそうじゃないですか。
そのような世界観からすれば、カノープスの製品のような機能は例えば DVD/HDD レコーダが備えるべきです。DVD レコーダも最近は Ethernet ポートを持つものも珍しくなくなってきましたから、技術的にもそれほど難しいことではないはず3。また、ネットワークメディアプレーヤのような機能はディスプレイ側に内蔵されるのが自然です。これも最近のデジタル放送対応テレビであれはそもそもある程度のデコーダを内蔵しているはずですから、そんなに難しい話ではないでしょう。余談ですが、MPEG2 ストリームなどのソースデータからのデコードエンジンと実際に表示されるデバイスが近くにあるということには大きなメリットがあって、ソースデータのポテンシャル、表示デバイスのポテンシャル双方を余計な制約なしに最大限に発揮できるようになります。こと映像に関しては、今後ユーザの手にするコンテンツはほぼ例外なく圧縮されたものであることを考えると4、そのストリームをデバイス直近までそのまま伝送可能な方がいろいろとリーズナブルなことは明らかでしょう5。
もちろん、いろいろ問題も思いつきます。例えば、ゲーム機や PC など、非圧縮映像ソースを自ら生み出しうるデバイスの場合パネルと非劣化デジタルフォーマットで直結したくなるかもしれません。また、ソースの MPEG2 ストリームを例えば AV アンプ、ディスプレイ等で使い回す場合、デコードに要する時間 (タイムラグ) の差によって同期が乱れる可能性があり、なんらかの対策が必要そうです (デコードを一カ所で行ってそこからアナログ/リアルタイムデジタルで伝送する仕組みの場合はそのような同期問題に頭を悩ませる必要はありません)6。そうだとしても、AV 機器を買ってきて自宅 LAN に join させさえすれば、他の機器上にあるデータを自由に扱える、またその機器のデータも自由に流通させられる、という世界になれば、すごく使いやすそうだと思ったのでした。
その後の VAIO 君
増設メモリの件は、別の店で買ってきた7さらに安い8 ELPIDA 製チップの載った 512Mbytes PC3200 DDR SDRAM モジュールを差したところ無事動作し、memtest86 もエラーフリーでパスしたためとりあえず解決。良かった良かった。
全体的な印象としては今のところケチの付け所がないくらい良いです。懸念していた動作音も、起動直後、内蔵された3つのファンがフルスピードで回転している瞬間だけは激しくうるさいですが、その後はすぐに静かになって今まで使っていた VAIO くんよりも静かなくらいだし、液晶も明るく、視野角もとても広いです。
将来のためのメモ。VAIO type M の HDD 換装手順のページ。リカバリ DVD-R も作ったので HDD がクラッシュしたり容量が足りなくなったらこちらの手順を参考に入れ替えに挑戦してみようっと。
コメント
- SAK (Thu, 11 Aug 2005 23:32:51)
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Syabas系ネットワークプレイヤー市場は、残念ながら壊滅してしまいますた。
過去製品は完全放置 or VerUpしたらデグレしまくり…orz。
DNLAの本格立ち上げマダー!? チンチン(AA略
話は変わるが、相性問題さえクリアすればHDMIは実に良いぞ。
ケチ付けるならば、とりあえず使ってからにしようぜヽ(´ー`)ノ
- Digitune (Fri, 12 Aug 2005 00:41:29)
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我が家は完全 SD 環境なんで HDMI の出る幕ないよ(;´Д`)>SAK
とはいえ、こないだ買った VAIO type M のディスプレイ環境は相性問題が完全解消された HDMI 環境とほぼイコールであると言える (完全デジタル接続だし。パネルにあわせて最適化されてる分より優れている部分も。解像度はちょっと足りないけど)。なので、「HDMI のもたらす物」については使わずとも分かるぞな。結局、HDMI ってせいぜいその程度のものなんだよね。今後、パネル側のクオリティが上がった時に追従できるマージンもちょびっとしかないし (シングルリンクではフル HD でもいっぱいいっぱい)、あんまり素性の良い技術とは言えないんじゃないかなぁ。
- Digitune (Sat, 13 Aug 2005 14:11:42)
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その後 HDMI 信者の SAK 氏がいろいろ調べてくれたところによると、1) 最大転送速度は 5Gbps を超える、2) 通常でも数 m クラス、ケーブルイコライザを使うことで 30m もの延長も (場合によっては) 可能、ということで、現行ちまたに出回っているデジタル伝送技術の中ではトップクラスの帯域と取り回しの良さを誇っており、つまり今のところめぼしい代替品はないのでした。
- SAK (Sat, 13 Aug 2005 22:07:45)
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補足すると
>シングルリンクではフルHD でもいっぱいいっぱい
これも、でじつね氏のう・そ。で・た・ら・め。FUD(´ー`)y─┛~~
1920x1080x24bitx60フレームのデータを送っても、HDMIの帯域は6割強しか使わない。
実際には音声データも多重化して転送するので余裕ありまくりとは言わないが、
それなりにマージンはあると思われ。
さぁ、でじつね氏もHDMI欲しくなってきただろう?ヽ(´ー`)ノ
- Digitune (Sun, 14 Aug 2005 11:12:25)
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さすが、信者必死だな(;´Д`)>SAK
いちおう↓がソースだったんだが、
ttp://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Bay/9439/dvi_detail.htm
君の計算とは微妙に異なるようだが、どっちが正しいんだろうね?
- SAK (Sun, 14 Aug 2005 16:45:05)
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TMDSのスペックが 1.65Gbps/s = 165Mピクセル/秒
1色辺り10bitで計算してるな。2bitのパリティ入れてるっぽ。
1920*1080*60 = 124416000 [pixel] = 119[Mpixel]
119[Mpixel] / 165[Mpixel] = 0.72
2bitのパリティ入れて計算すると7割ちょいだな。
まだ余裕あるぜヽ(´ー`)ノ
実際にはRGBじゃなくてYCCなんで、どこまで正確かはシラネ。
……しかし、なんでDVIでは1600*1200*60で一杯一杯なんだ?
RGBを24bitじゃなくて32bitで送ってるのか?
32bitで計算すると確かにギリギリなんだが。
- SAK (Sun, 14 Aug 2005 16:58:22)
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>RGBを24bitじゃなくて32bitで送ってるのか?
実際DVIでは、32bit値のまんま送ってるっぽいな。
いまさらだが贅沢な事してるな〜。
32bit中8bitはただのパディングなのに……
- SAK (Sun, 21 Aug 2005 23:54:00)
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ディスプレイ用新規格「DisplayPort」、標準化に向けた検討開始
http://japan.cnet.com/news/tech/story/0,2000047674,20086493,00.htm
>4芯ケーブルを使ったデータ転送レートは最大10.8ギガビット/秒
( ゜д゜)
(つд⊂)ゴシゴシ
(;゜д゜)
(つд⊂)ゴシゴシ
_, ._
(;゜ Д゜)
4芯で10.8Gbps/sってのはすざまじいな。
しかし、いまだDVI/HDMIの次を検討せねばならないほど逼迫してるとは思わんのだが。
ただのI/F乱立にならんことを祈る。
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そういう意味では、HDMI/DVI という規格については僕はちょっと否定的です。せっかくデジタルになったのに、「特定のデータ」を「特定のフォーマット」でしか流せない規格をわざわざ作るのは変ですよ。デジタルデータを流すためのすでに確立した様々な規格の中から、配線長や帯域、ケーブルの種類なんかがマッチするものを単に選べばよいじゃないですか。用途の異なる口は形からして変えておく方が親切、という反論も、僕から見るとあくまでもアナログ時代のものなように感じます。同じ規格ならば物理的な特性は合っているのだからそのレベルの問題はないし、よりメタな情報についてはデジタル機器同士なんだからお互い情報を交換しあって良きに計らう、くらいはやってくれてもバチはあたらないでしょう。 ↩︎
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ノート PC にアンテナ線を接続していたらモビリティが思いっきり犠牲になっちゃいますからね! ↩︎
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政治的には DLNA で規格化されるのを待ってたりしなきゃならなかったりするとヒッジョーに面倒そうですが…。 ↩︎
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なお今後個人の映像コンテンツニーズにおいては、いわゆる「放送」(地上波 TV など) の地位が次第に低下していき、いわゆる「通信」(Internet) の地位が上がっていくのではないかと思っています。放送の持つ画一性や同時刻性という特質が必ずしも必要ではないコンテンツは徐々に Internet へ移行していくのではないでしょうか。 ↩︎
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デバイスのケーパビリティに関する問題 (新しいフォーマットのストリームに対応出来ないという問題) は適当なトランスコードデバイスを挟むことで解消出来ますし、そもそも、今はまだビデオストリームのフォーマットが非常に流動的なため、現状の安いネットワークメディアプレーヤのようにディスプレイとは別体としておいた方が良いかもしれませんが、そのうちビデオストリームフォーマットも収束してくるでしょう。マスを相手にするパッケージや放送のフォーマットはおいそれとは変わらないし、そうなってくると個人が作るムービーもそれらと同じフォーマットを採用したものが多くなってくるはずです (その方が何かと使い勝手が良いので)。 ↩︎
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しかしデバイス間同期問題は MIDI の昔からみんなが悩んできていることでもあるわけで、ここらでちゃんとした規格を考えるべきなような気もします。 ↩︎
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新宿西口ではソフマップが一番安いみたいですね。バルクメモリにも 500 円で相性保証が付けられるし。 ↩︎
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相性保証付けても安い。 ↩︎