bird餅つき大会, 「幸福な遊戯」, 「ヤサシイワタシ」, ATOK 快適!

餅つき大会

今年も幼稚園の餅つき大会に行ってきました。相変わらず重労働であることには変わりなかったのですが、今年は途中から餅つき組ではなく餅配り組に移動したので去年よりは楽だったかも。
そういや、今年はあゆみさんと有葉も一緒に行ったのですが、僕がヘロヘロと餅をついている様をみて「加澤君が一番ヘロヘロだった」と言われてしまった…。握力、腕力が決定的に足りないのが問題だろうなぁ (途中から杵をまっすぐ持つだけでもつらかった)。普段マウスより重いものを持ってないから。少しは腕も鍛えた方がよいのかも。

「幸福な遊戯」

幸福な遊戯 この間「対岸の彼女」で直木賞を取った角田光代さんのデビュー作、らしい。若い女性を主人公にした短編「幸福な遊戯」「無愁天使」「銭湯」3編からなる短編集です。

どの作品も女性性というものが強くでているような気がして、これまであんまりそういう話を読んだことがなかったのでなかなか新鮮でした。冒頭の「幸福な遊戯」の舞台設定なんかは保坂さんの「プレーンソング」なんかを彷彿とさせるようなものなのに、保坂さんの世界がのほほんと平和に日々すぎていくのに対して、角田さんの世界は前へ進もうとする人、今ある世界を守ろうとする人、いろいろな人の感情が渦巻いていてとても熱いです。それは「若さ」なのかもしれないし、モラトリアム期間の人特有の焦燥感なのかもしれません。僕もモラトリアム期間は楽しく謳歌すると言うより日々焦り辛かった記憶しかないので、角田さんの作品に出てくる人の気持ちは何となくわかるような気がしました。

「無愁天使」にあるモノに囲まれてはいるが退廃したイメージの描写は非常にリアリティがあってちょっと恐ろしかった。以前「やじうま watch」に紹介されていた「ebay にはまって家をモノで溢れかえらせた母親の家」を見た時にも感じた恐怖。

どの作品も、普段あまり描かれないような側面について書かれているため読んでいて辛い人もいるかもしれない。そういうところはちょうど同じ時期に読んだ下記の作品とも通じるモノを感じました。

「ヤサシイワタシ」

ヤサシイワタシ(1) ヤサシイワタシ(2) アフタヌーンに連載されていたらしい、ひぐちアサさんの本。中学時代に全国大会に出るほどのテニスの腕前だったが怪我で断念せざるを得なくなって大学では写真部に入った「芹生くん」と、奔放な性格と華麗なオトコ遍歴で名をはせた (と裏表紙に書いてある・笑)「弥栄さん」の話。

ひぐちさんの前作、「家族のそれから」でも思ったんですが、お話の流れはちょっとわかりにくいんだけど、ところどころにぽっと引っかかる言葉が出てくる。物語の中の人物たちが、話の中で完全に描かれきっているわけじゃなくて、この話の裏にはもっと深いものがあるように感じさせる、というところがこの作者の魅力かも、と思いました。

そういう意味では、お話の中では特徴的な言動のみが紹介されているにすぎない (ように思える) 弥栄先輩のキャラクターにはちょっと「やられた」感アリ。これまで他の小説、漫画ではあんまり見たことのないタイプのキャラクターだけど、自分の高校時代やその後にはまさに彼女のようなタイプの知り合いが確かにいた。僕は当時、どちらかというと「いらぬ苦労を背負い込んでる、本人の問題」と冷たく突き放す側だったけど、今は芹生くんの気持ちも少しはわかるような気がする。

連載誌が「アフタヌーン」だからか、「家族のそれから」でもこの作品でも、最後はかわいい女の子が全ての救いを引き受けてしまうという話の構造が、個人的にはちょっと気になりました。オトコとしては正直「救われる」ので楽なのですが、角田さんの作品のように最後まで本来のテーマで押し切ってしまった方がお話としては純度が上がるような気がする。

ATOK 快適!

Debian でも無事使えている ATOK、もー非常に快適。プログラムとしての動きも非常にちゃんとしてるし、さすが商用プロダクトだなぁと感心しました。もっと早くに買っておくべきだった。

コメント

かぴのすけ (Mon, 24 Jan 2005 22:07:25)
> さすが商用プロダクトだなぁと感心しました

そーでしょー。フッフフ。
Digitune (Tue, 25 Jan 2005 11:51:45)
仮にも値札を付けて売るつもりならば、このくらいはやらんとダメ、ってことでしょー>かぴのすけ。

誰かが余暇で作ったもの (オープンソースなプロダクト) にも劣るようなものに値札を付けて売ろうとして、それが売れないからといって「オープンソースなソフトが増えすぎたのが悪い」というのは本末転倒も甚だしい。ユーザはそこになんらかの価値を見いださない限り (または無知な状態に留め置かれない限り) お金を払ったりはしないものさ。

// service 主体のビジネスモデルとの関係とか考えるともうちっと
// 問題は複雑だと思うけどね。
かぴのすけ (Tue, 25 Jan 2005 21:22:42)
オープンソースなソフトが増えすぎたせいで実際に商業困難になってる例ってのはほとんどないと思うがどうか。

どっちかつーと、強力なファームウェアのシェアを背景にタダソフトを配ってる企業とかの方でヤバくなってる人らの方が多かろう。
かぴのすけ (Tue, 25 Jan 2005 21:30:01)
SIで儲ければいいとかタダソフト化されるのはそれが商売として成り立たなくなってる証拠とかに関しては、次の反証。

・SIで提供されたシステムに価値があるなら、構成要素のソフトにも価値があるわけで、本来ならSIで落ちた金を各ソフト作者にも還元すべき。する流れがメジャーなところであっても良さげ。
・とんでもない実力と根気の人だと余暇で作っててもかなりのレベルだったりする。が、これは稀だろう。
Digitune (Thu, 27 Jan 2005 12:38:29)
返事遅くなってごめん>かぴ。

> オープンソースなソフトが増えすぎたせいで実際に商業困難になってる例

立ちゆかなくなるところまでいってしまっているソフトはほとんどないかもしれないけど、市場を追いやられているソフトならば結構ありそう。サーバ OS の下の方とか、Web サーバ、RDBMS などなど。

2個目のコメントは「反証」の意味がいまいちよくわからんが、SIer がオープンソフトワールドに利益を還元するメソッドはあってもいいと思うし、もう実際にあるのかも。Red Hat や最近の IBM なんかは、彼ら自身かなりコストをかけて開発したであろうコードをドカドカ contribute してるし、SIer 主催のカンファレンスにオープンソースな人が呼ばれて講演したりするのもそういった流れの一つといえなくもない。

> とんでもない実力と根気の人だと余暇で作っててもかなりのレベル

こつこつ時間をかけて良いのであれば、個人の趣味レベルでもクオリティという意味では商用プロダクトと遜色ないものが作れる。昨今、ソフトウェアで商売する際に最も重要なことは「タイミング」でしょう。コストをかけてでも素早く高品質なソフトを開発し、今はそのソフトしかない、という状況を作りさえすれば何とか商売出来る。もちろんすぐさまプロプライエタリ、オープン諸々のフォロワーはやってくると思うけど、リードが保てるうちはがんばってリードを保てば何とかなる。リードがなくなってしまったら別のソフトを作る。
かぴのすけ (Sat, 29 Jan 2005 18:44:51)
引越しのゴタゴタでPHSモードなのですよ。
2個目反証は要するにSIで金が落ちるならその構成要素たるソフトにも価値(金!)があると証明されてるとゆーこと。決して価値0(タダ)なのではないと。価値あるソフトをどんどんタダで出してしまっている人はもったいないことをしているのじゃないかと。ソフトにかけられる金額意識も薄れてしまわないかと。

リードで稼ぐってのは一つの手だけども、それしかないと自転車操業的だよね。どっかで権利化を図りたい。パックマン類似ゲーは全部著作権違反、だとか。
うさ (Mon, 31 Jan 2005 11:09:56)
>かぴ
なんじゃOK牧場からどこぞへ移るのかいな?
個人的にはFSFは敵ってことでひとつよろ。
Digitune (Tue, 01 Feb 2005 22:29:07)
> 決して価値0(タダ)なのではないと。

そりゃそうだと思うよ。趣味だろうが仕事だろうが、人が手を動かして成したことには多少なりとも価値があるものだ。しかし、コード自体に対価を設けないからといって、「ソフトにかけられる金額意識が薄れる」とは思わないなぁ。単に対価を得るのはもうちょっと上の方のレイヤー、ってことでしょう。個々のパーツは共通化、標準化が進んでいった方がコストメリットが大きい。

> リードで稼ぐってのは一つの手だけども、それしかないと自転車操業的だよね。

グローバルなサービス業、ってのは自転車操業的にならざるを得ないのだと思う。浮き沈みの激しいインターネットサービス系の会社は言うに及ばず (とはいえマインドシェアを掴めればある程度の期間は安定的に収入が得られるようだけど)、あれだけ権利化にいそしんでいながら映画業界、音楽業界の水モノっぷりはどうだ。

別の視点としては、グローバルを目指さない、という方向性もあると思うんだよね。土着サービス。しばらくは維持され続ける都市部とのギャップを価値の源泉とするようなありようだね。
かぴのすけ (Fri, 04 Feb 2005 20:31:55)
> 単に対価を得るのはもうちょっと上の方のレイヤー、ってことでしょう。

それでも部品がタダだなんてのは変な話なわけで。上が高度に知的ならいいが、ソフトウェアではしばしば部品の方が高度だったりするし。

> あれだけ権利化にいそしんでいながら映画業界、音楽業界の水モノっぷりはどうだ

コンテンツは飽きがあるからね。ただそれでも瞬間風速的に利益は上げられてペイするから問題ない。
Digitune (Tue, 08 Feb 2005 09:08:23)
> それでも部品がタダだなんてのは変な話なわけで。

そうかなぁ。ソフトウェアは「部品」であると同時に「基盤」でもある。ソフトウェアそのものではたいていの場合意味がなくて、その上で人間が知的生産活動をすることに意味があるのなら、そっちにフォーカスして基盤は公開してしまう、というのも良い手ではないかしら (この場合ゲームは別)。MPEG とか DVD フォーラムとかも、限定的ではあるけれどソフトウェア技術を (協賛企業間では) 自由に交換し合うことによってプラットフォームの早期成熟をめざし、その上へ乗せるビジネスを素早く展開させるための方策なのだろうし…(もちろん無用な特許紛争を避ける、という面も大きいと思うけど)。

> コンテンツは飽きがあるからね。

コンテンツの例を出したのはちょっとピントがぼけてたね>俺。

あと実用アプリの場合、進化の道筋が必ずしも存在しない場合があるというのも難しいところで、人によっては Office95 でも何の問題もなく 10 年以上使い続けたいと考えるわけです。ソフトウェアは劣化しないし、完成度が高ければ高いほどアップグレード圧は弱まってしまう、というジレンマを抱えてる。Microsoft もどうやって Windows、Office をアップグレードさせようかとあの手この手考えてるけど、なかなか難しいんじゃないかと思うんだよね。
TrackBack (Tue, 22 Mar 2005 23:44:51)
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Digitune [memo]
「おおきくふりかぶって」
アフタヌーンで連載しているらしい、ひぐちアサさんの純粋野球漫画。前作の「ヤサシイワタシ」や「家族のそれから」と比べると、野球漫画、という部分でひぐちさん独特の私小説風の「痛さ」はだいぶん中和されていて、しかし単なる野球漫画にもスペック勝負の魔球漫画に..