bird「真の独立への道」「ガンジー」

「真の独立への道」「ガンジー」

真の独立への道−ヒンド・スワラージ ガンジー ガンジーさんのことを何にも知らなかったので、ガンジーさん自身の書いた「真の独立への道−ヒンド・スワラージ」と、小学生でも読める伝記の「ガンジー」を読みました。

前者は、イギリス人を追い出して自分達の政府を作ることこそが「自治」だと考えているインド人の「読者」を、ガンジーさん自身を表しているのであろう「編集長」がこんこんと説得するという対話形式で書かれている本です。「自治」とは、みんなの心の中から自然と生じるものでなければならない、銃火でイギリス人を追い出し例えインド人が権力を握ったとしても、それではインドは幸せになれない、と説くそのお話にはとても考えさせられました。

ガンジーさんが重んじている「サッティヤーグラハ」、日本語では慈悲の力、魂の力、英語では「受動的抵抗 (自分の権利を獲得するために自分で苦痛に耐える方法)」と訳されることもある概念とは、例えば、ある人に関係する法律が成立したがその人はその法律が気に入らなかった場合、その法律に従わず、そのために下される罰を受けいれるようなやり方のことです。「読者」が、サッティヤーグラハは弱者の方法で、強者なら大砲を使うだろう、と行ったことに対しての下記の言葉は、カンジーさんの価値感をとてもよく表しているように思います。

あなたはなんと思っているのですか?大砲を放って数百人を殺すのに勇気が要りますか?それとも銃口に笑顔で縛りつけられるのに勇気が要りますか?死を頭に頂いて進む人が勇者ですか、それとも他人の死を手中に握っている人が?男らしくない人は一瞬たりともサッティヤーグラヒーではいられない、それを心にしっかりと留めなさい。

真の独立への道より引用

我々が普段トップダウン的なものと考えてしまいがちな国家というものは、ほんとうにボトムアップで構成されていなければならないのですね。銃火や暴力的性急さで体制のみを変更したところでうまく行かない、国民一人一人が「よりよく暮らすにはどうすればよいか」を考え、自らの心と身体を鍛えて、勇気を持ってサッティヤーグラヒーになろう、というガンジーさんの声にはとても説得力を感じました。

ちょっと前に読んだ養老さんの本にも、こないだ読んだ「神は沈黙せず」の大和田老人の言葉の中にも、一人一人が自分の直接触れられる世界の中で、手の届く範囲で、声の届く範囲で、正しいと思えることを行うように努力することが大事、というメッセージが込められていました。ガンジーさんのようにインド全体、世界全体の何億人にも影響力を与えるようなエネルギーは普通の人にはないかもしれないけど、身の回りの人達に影響を与えることは出来る。そう、世界はボトムアップで構築されているんだよ。みんなが変われば世界も変わるんだよ。

そういうふうに今僕は思うし、これからも考え続けていこうと思う。

コメント

ねおん (Mon, 08 Mar 2004 17:26:37)
殴られたら痛いから、非暴力なんてばかばかしい、と誰しもふつうに思ってしまう。まさしくそれ自体が、暴力で人を脅すやつの思うつぼなのにね。ガンジー万歳。
でもガンジーさんも「わかってくれないなら、ごはん食べない!」とかゆうて、人を脅したりしてたりw
ねおん (Mon, 08 Mar 2004 17:30:36)
ついでにハイチのこととか思い出したので、さらにツッコミ。
ハイチのここ200年ぐらいの歴史は、調べるとひじょーに暗澹とした気持ちになるのだが、同時にここ最近にいたって、どんどんと資本主義的な対立構造がひどくなってきているのを感じる。もちろん植民地化そのものが経済的なことなのだけど、なんかより対立構造がシンプルになってきている分、ひどくなってるとゆうか…まあとりあえずここまで。
Digitune (Tue, 09 Mar 2004 00:45:59)
「ごはん食べない!」ってまさにサッティヤーグラハですよね。養老さんもいってた気がしますが、姿が見えない死人は誰も気にしないけど、目の前で人に死なれるのには人はとてもショックを受ける。ガンジーさんのやり方、ってのは、そういう人と人との生の繋がりをとてもうまく使ったものなんだと思います。養老さんの考え方の根っこのところもそういう感覚から生じているように思う。
ハイチのことは何も知りませんでした。僕もちょっと勉強してみます。
小学生 2・3年 (Sun, 09 May 2004 20:51:05)
ガンジー読んだ。読んでるうちにガンジーのことがよーーーーーーーーく、わかった。      また、読みたい
Digitune (Sun, 09 May 2004 22:55:17)
小学校2年生くらいだと、どちらの本も少し難しかったのではないかな?
もう少し経ってから読むと、また違った目で読めるのではないかと思う。お勧め。