Mydoom が攻撃開始, 似非科学
Mydoom が攻撃開始
このニュースを読んで、ぽっと頭に「我々が普段意識している『コンピュータ』とは全く異なるレベルで密かに戦いを繰り広げるソフトウェア達」というような絵が浮かんでしまいました。
考えてみると、コンピュータウィルスというものは既にかなり前から、「単一のソフトウェアとしてではなくソフトウェア群体として機能する」というレベルのものになっているわけです。対して、それに対抗しなければならない OS やサーバソフトウェアはまだまだ個体レベルにとどまっています。プログラム的には全然大したことのないウィルスに対して、よっぽど高級なはずの OS やサーバが敵わないのは実はその辺に理由があるのかも。
例えば今回の SCO サイト攻撃の場合も、攻撃してくる感染 PC 上のウィルスを、サーバクラスタで迎え撃って一台一台反撃 (強制修正) していけたら、それほどの時間もかけずに撲滅することも (技術的には) 可能なわけです。
現状、そういった能動的な対策が取れないのは、あくまでも OS が個体レベルに留まっており、ユーザ等外部からの司令無しには「群れ」としての行動が出来ないから (WindowsUpdate やパターンファイル更新などもあくまでもクライアントドリブン、つまり個体としての動き)、と言うことも出来るのではないでしょうか。本来、OS やサーバソフトウェアの方が投入できるリソースも豊富だし、正規に各種情報にアクセス出来る分有利な立場にいるはずなんですよね。
基本的に「全てがユーザの手の中になければならない」 PC の世界で OS やサーバソフトウェアがそういった積極的に群れとしての行動を取るのは難しいかもしれませんが、ネット家電等の組み込み系では最初からそういう性質を持たせたシステムソフトウェアを載せておくことは可能かもしれません。1
似非科学
もっともらしい統計やそれらしい根拠を語ってネタにするのはいいけど、そのネタが何か or 誰かの中傷だったりするものは根本的に好かん。酒の席のネタだとしても加わりたくない。
ネタ、と自分で言いつつ2真正性を強調するのも訳分からんぞ。よりそれらしい方がネタとして面白いからか?俺から見るとネタはどこまでいってもネタなんだが…。
コメント
- SAK (Tue, 03 Feb 2004 02:41:57)
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「あの国のあの法則」の事か? 中傷というより自虐ネタだと思うが。
- かぴさん (Tue, 03 Feb 2004 22:05:16)
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リソースやアクセス権の問題じゃなくてエントロピーの低まる方向へはある程度高い精度の制御が必要になるのだよフフフフ
- かぴさん (Tue, 03 Feb 2004 22:05:48)
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あ、高まるだった↑
- かぴさん (Tue, 03 Feb 2004 22:06:09)
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ああ、低まるでいーんじゃんやっぱり
- Digitune (Tue, 03 Feb 2004 22:45:33)
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なんやねん(笑。確かにそれはそうだけど、開放系なら自然とエントロピーが低まるように動く自己組織系の研究もずいぶん行われてるよね (そして外部からエネルギーが供給されている計算機の世界は開放系だと言える)。IBM や Sun、HP などのサーバ屋が言い出してる Adaptive Computing といったビジョンはそういう適応系を作り出そう、という試みでしょう?
変化を許容しつつ、必要以上に秩序 (非効率化) にもカオス (暴走) にも振れないような、いわゆる「カオスの辺縁」系をうまいこと作れればいいよね…。
- かぴさん (Wed, 04 Feb 2004 21:40:50)
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昨日は酒が入ってたのだよ。
爆弾で吹っ飛ばすのは簡単だが、吹っ飛んだ破片を拾い集めて組み立てるのはえらく大変。ウイルスと自己修復の関係だな。
ウイルスのように発散方向に動かすのに基準は必要ないが、自己修復させるには賢い評価軸が必要となるわけで自己組織化で制御するにしてもこれは同じ。つーこと。
賢い評価軸を自動生成するにしてもゴミの山が築かれることだろー。いじょ。
- Digitune (Thu, 05 Feb 2004 00:11:58)
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自己組織化された系においては、賢い評価軸による制御は自然に行われるんだもよん。わざわざ外部から調整してあげる必要はないし、試行錯誤で見つけ出す必要もない。連続的な適応地形を上る形で (ランダム試行よりも効率良く) 自動的に改良されていくのだ。
- Digitune (Thu, 05 Feb 2004 00:34:55)
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上記の俺の話には自己組織化だけじゃなくて、適応地形とか共進化、淘汰と言った (カウフマンの本に出て来る) いろんな話が混ざってますな。失礼。まぁ現状はただの妄想ということで。
- かぴさん (Thu, 05 Feb 2004 22:22:39)
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認識技術ではふつーにGAとかLVQとか使うし、その手のブツは何個か作ってるわけだが。評価軸が勝手に作られたことなんかまったくないぞ。評価関数とかは損失関数の偏微分を極大値で解いて作るので決して自動ではない。もちろんゴールだけ与えて優先探索しまくれば何でもそのうち解は求まるんだろーがね。そゆのはできたうちにはいらねーのだよ。賢い優先探索をするための賢い評価軸が必要。
- かぴさん (Thu, 05 Feb 2004 22:24:00)
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↑またちょっと間違っちまったよ。アンドゥ可能にしてくれ。
- Digitune (Thu, 05 Feb 2004 22:59:04)
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> もちろんゴールだけ与えて優先探索しまくれば何でもそのうち解は求まるんだろーがね。そゆのはできたうちにはいらねーのだよ。
こっちに近いイメージなんだろうなぁと。GA とかってそもそも自己組織化とかその辺の概念が出て来る前のもので、基本的にランダムな変異を評価/淘汰 (自然選択) することにより最適解を見つけ出す、ってことじゃん? (間違ってたら指摘してくれ)。その場合に賢い評価軸が必要、というのは納得できる。
俺が妄想しているのは、系自体を合目的的に動かすことが出来るような、「汎用適応地形
作成メソッド」のようなモノが作り出せるんじゃなかろうか、ということ。系が自らのポテンシャルを下げるよう自然に振る舞うだけで、目的とした仕事をさせることが出来るような構造。個体がそれぞれ解を評価し動作するのではなくて、個体自身は汎用の評価軸 (生き延びるとか) に沿って動くだけで、地形の方が目的に沿った個体を生むべく構成されていると。
単に「個体を高い精度で制御する」代わりに「地形を高い精度で生成する」形に変形しただけなのかもしれないけど、前者があくまでも動的に目的を果たすものであるのに対し、後者は目的と静的に結びついている点が質的に異なるような気がするんだよね。つまり、個体制御はずっと見続けなければならないしあらゆる例外についても対応しなければならないわけだけど (ウィルスへの対応が最たるもの)、適応地形は一度作ってしまえば目的を果たしてくれることは保証されるんじゃないかと。もちろん個体の性質によって効率の善し悪しは出て来ると思うけど、それは適応への圧力により時間が解決してくれる…んじゃないかなぁと。
妄想スギ?
# undo は俺も欲しい。
- かぴさん (Fri, 06 Feb 2004 21:31:16)
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ちみのゆー地形てーのをf(X)とすれば個体の動きてーのはその微分で与えられるってこったな。最終的には同じことだけども、f(x)を直接求めるってのはすげー難儀な場合がたくさんある。なので、例えば半径Rで円運動させようとした場合、とりあえず適当な角度でずーっと動かしてくと必ず円運動にはなるわけで、それで自分の描いた円の円周なりをゴールと照らし合わせながらテキトーに角度を合わせていったりすることで簡易に解が得られる。識別問題もいきなり境界面を求めると大変なので、テキトーに決めたポイントを徐々に動かして境界面ぽいのを作った方が楽っぽいわけだな。現実の世界にしたってなんぞかの目的関数で動いているとは言いがたい。結果論的に人間の言う正解が導き出されているだけ。少ない回数で優れた解を出すある程度汎用的な優先探索法はいろいろと提示されているが人間ほどのインテリジェンスから見たらまだアホ極まりない探索なのだな。意味を理解する優れた認識系、推論系でも持ってなければ人間レベルの適応力は持てなかろーと思われる。まあ自然界はそれら系をGAで求めておるわけだけどもね。
- Digitune (Sat, 07 Feb 2004 00:32:20)
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哲学的になっちゃうかもしれないんだけれども、
> 結果論的に人間の言う正解が導き出されているだけ。
では、どうして人間は目的に到達できるのか?人間を結果に導く力とは何か?
「少ない回数で優れた解を出すある程度汎用的な優先探索法はいろいろと提示されているが…」以降の話は、結局「うまいアルゴリズムを見つけ出す」話であって、あんまり面白くない。
漸近的に解を求める方法に対して最初から正解を求める (最適な地形を作るとはそういう面もあるわな) のが圧倒的に難しい時もある、というのはそうだろうね。だいたい、未だに1応用でも具体的な方向が見えない時点でそもそもどこからとっかかっていいのかすらよく分からん (カウフマン等は生き物の進化を考えているから蛋白質方面から攻めているようだ。攻めどころが分かるだけうらやましい)。
前半はよく分からんかった。そもそもこんなトンデモ話にまともに付き合ってくれるだけでもありがたいわけだが…。
- Digitune (Sun, 08 Feb 2004 13:45:03)
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いきなり人間知性の話は飛躍し過ぎだとしても、例えばゾウリムシにも濃度勾配をさかのぼる、くらいの知性はあるわけだ。
ジュラシックパークじゃないけど、「生命は抜け道を見つけ出す」という事実は確かにあるわけで、そういう生命の使っている方法論を学ぶことは可能なんじゃないか、という希望が根底にありますね、僕には。
- Digitune (Sun, 08 Feb 2004 14:39:58)
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GA に関して言えば、面白い見方だと思うし有効性もそれなりに証明されてるけど、旧来のアルゴリズム的手法からの本質的な差異はない、と思ってます (って中森先生の受け売りなんだが)。
そもそもカウフマンの本でも言及されてるんだが、自己組織化という概念を含まない進化論は片手落ちだと。ラマルク主義じゃないけど、突然変異と自然淘汰という概念だけでは生命の持つ適応力は説明できないらしいぞ。
- かぴさん (Sun, 08 Feb 2004 15:18:30)
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>では、どうして人間は目的に到達できるのか?人間を結果に
>導く力とは何か?
人間自体が既に結果なんだよ。その結果を生み出したのはおそらくGAだ。開放系の中でのGAなので一概に単純には言えんわけだけどもね。それに「人間は目的に達することができる」と言っても目的に達せられないのもたくさんいる。数打ちゃ当たるっちうこったな。当たったところを学習して優先探索の知識に加え、探索を効率化するのはまさにGAだな。
勝手に高度な処理をしてくれる処理系を望んでいるようだが、その処理系はやはりそのように仕組まれたアルゴリズムであり、その「優れたアルゴリズムを探索する優れたアルゴリズム」は優れた認識系、学習系、推論系を持っていなければならないのじゃないかとゆっておる。もっとも、優性アルゴリズム生成系をうまいことセルフフィードバックすれば現実的な時間でこれらも生成可能なのかもしれんがね。つまりそれが必要なら作られるってわけだな。機械が自我に目覚め始める瞬間ってやつ。
生命と言えども学習型優先探索で解を求めているのはまず間違いない。NNで優先度の評価関数を学習させる系や、それにGAやセルフフィードバックを組み合わせた系などは既に発表されており、NP完全問題などに対しても少ない探索でより良い近似解を出すことが確認されておる。ただ人間の脳に比べると探索パワーが圧倒的に足りないので大規模なグリッドシステムなどとの組み合わせが今後期待されるところだな。
知能とはほど遠いが、今でもグーグルの人気度学習DBシステムなんかは人間の学習系を補う働きが割とあるわな。優先度の学習てのは非常に重要だ。